2020年の振り返りと御礼

さて、ご無沙汰しております。アガリスクの冨坂です。

今年は世界中でいろいろなことがありまくったんですが、色々作ったんで、それを振り返ってみようと思います。
こんなときじゃないとブログを書かなくなってしまっていかんな〜

さて、いきましょう。


●filamentz×アガリスクエンターテイメント『国府台ダブルス』
(『いざ、生徒総会』と『卒業式、実行』の再演二本立て)

【1月23日(水)〜1月27日(月)@新宿村LIVE】

今思うと、これがコロナの影響を受けるギリギリ前の大きな花火みたいな公演でした。あの大所帯で公演ができたのは幸運だった。

大好きな国府台高校論を、大好きなシチュエーションコメディに仕立てて、別でプロデューサーはいるけど極めて自由にワガママに創作して、お客さんからお代を頂く…という、この世の春のような仕事でした。

改めて『いざ、生徒総会』の劇構造はシンプルだけどしっかりしてると思ったし(戯曲の完成度って意味では拙作の中でもかなり上位な気がする)、出演者も大変チャーミング。劇団員じゃないからか甘酸っぱいシーンも照れずに演出できたし、後から一観客として見返すと「いいねぇ」としみじみ思う。

翻って『卒業式、実行』の再演は、久しぶりに客席の前の方で見たアガリスク作品でした(いつもは音響照明ブースで映像出ししてたり、フィードバックのメモを撮りまくってたりして、客席からは見ないのです)。
確かに要素多くて過積載だし、尺も長いんだけど、至近距離でアガリスクの速いコメディを喰らうと圧がすごいなぁ…と他人事のように感心してしまった。
昔、爆笑オンエアバトルで見ていた芸人・さくらんぼブービーのネタを生で劇場で見た時、迫力というか圧が凄すぎて爆笑してしまったことがある。そのときのような速さと大きさを感じたのでした。

●アガリスクエンターテイメント社員旅行に行った

一年前の『わが家の最終的解決(再演)』〜国府台ダブルスまでが怒涛すぎたので、これは休養が必要だ、ということで、少しだけ貯まった劇団の金で社員旅行に行った。ただただ楽しかった思い出。
劇団の行事なので、ちゃんと劇団会議も行った(なお、ここで後述の『140秒で支度しな!』の企画が固まる)。

●テレビ東京『あなた犯人じゃありません』のシナリオを書いた

【放映は2021年の1月7日(土)深夜1時〜に決定】

2月上旬、テレビ東京の佐久間さん(『ゴッドタン』などのプロデューサー)からTwitterに突然のDM。
「急だけど4月クールのドラマのシナリオを少し書かない?』とのこと。
急だな!とは思いつつ、久しぶりの佐久間さんからのご指名だし、企画も面白そうだったので、先々のスケジュールには無理をして参加させてもらうことに。
一緒に参加した他4人の脚本家も皆忙しい人たちだったし(何せ急だから予定も空けてない)、佐久間さん指示のもと話ごとに手分けして突貫工事。
最初は第2話だけ担当する予定だったけど、たまたま全体に関わる会議に顔を出す機会が多かったもんで、「この浮いてる1話、誰が書く…?」となったときに「ま、今ここにいない人に一から共有するの大変だし…」と皆の視線が集まり、引き受けることに。
ドラマ全体では凄腕のクイズ作家・矢野さんがトリックの監修に入っていたのだけど、俺は個人的にさらにプラスで淺越をブレーンにつけて2話と6話を書いた。

皆が大急ぎで撮影までこぎつけたら、緊急事態宣言で製作&放送延期になってガックリ。でも放映が決まって本当によかった。1月から見てね。

【木ドラ25】あなた犯人じゃありません

●夢ジョブ×アガリスクエンターテイメント『140秒で支度しな!』

【3月上旬と6月に撮影、8月から毎週水曜日に公開@Twitter】

役者やミュージシャンの活動しながらの就業支援を行う「夢ジョブ」ってサービスからお声がかかり、一緒に舞台か映像化作りませんか?とのことで、映像作品を作らせてもらった。
夢ジョブの縁のあるオフィスをお借りして、始業前の140秒間を8人の視点で描くショートフィルム8本立て『140秒で支度しな!』を製作。
大体の撮影は3月のド頭に実施。残りを6月に撮った。

その中の1話、4話、7話、8話の脚本と監督をやりました。
いやぁ、ほぼ初めての映像制作でミスもあったし反省点も多いけど、後々を考えるとここで経験を積めたのが大きかったですね。
それと、毎週水曜日にTwitterに流すスタイルで公開したら、結構多くの方が習慣として見てくれていたのが嬉しかったところ。

YouTubeにもあります。是非。

●『かげきはたちのいるところ』の公演延期と創作の継続

【4月29日〜5月10日@サンモールスタジオ→1年くらい延期・関西公演決定】

コロナの影響で公演延期を決めて、それだけじゃ癪だから『最高に楽しい延期をしよう』と言い張った。
この時は、まだ「パイロット版を作る」とか月一で創作過程を見せていくとか、そのくらいしか決まってなかったんじゃないかな(まさかその後にあんなデカい山を抱えることになるとは思っていなかった…)。

正直、今年やった仕事の中で、一番「やったぜ」と思ってるのは、このコピーとステートメントを表明したことだと思ってる。

実は、『かげきはたちのいるところ』の勉強として『三島由紀夫VS東大全共闘』のドキュメンタリー映画を見て、「物は言いようじゃねぇか」と思ったのがキッカケだったりする。
世界はすぐには変えられないし、不条理なことも沢山あるけど、それをどう解釈してどういうメッセージを打ち出すかは、こっち次第だったりするな、と。
最初は自分達を悔しくさせないための強がりだったけど、そのおかげでドラマ版を作ったり、クラウドファンディングを呼びかけるときのトーンがポジティブなものになったり、結構役立った気がしてる。

そう、クラウドファンディングです。ご支援本当にありがとうございました。
損失分のカバーだけでなく、追加のご支援もいただき、おかげさまで2021年に創作体制を充実させて公演を実施できます。さらには関西公演もできます。

この公演はもともと、ほぼ劇団員だけの公演で、アガリスクハウスをモチーフにした作品で、となるとほぼ自分たちの現実を反映する劇になるわけで、ただでさえちょっと特別な公演でした。
一年も引っ張ってスピンオフも作りまくったら、そのウェイトがさらに重くなっちゃいそうで、ちょっと心配ではある(笑)

日程などの追加情報はもう少々お待ちください。

●『12人の優しい日本人 を読む会』

【5月6日(水)前編14:00〜/後編18:00〜@YouTube Live】

これはコロナ禍じゃなかったら実現しなかった企画。あり得なかった出会いでした。
「この状況を喜んでるんか」と言われちゃいそうだけど、でも、コロナによって大きなダメージを受けた演劇界にとっての、珍しく奇跡みたいなイベントでした。もちろん、個人的にもね。

発端は4月20日、『かげきはたちのいるところ』パイロット版の朗読劇のためのリモート稽古を10分後に控え、皆が入室するZoomをセッティングしているときでした。
LINEに「近藤芳正」という驚きの名前からメッセージ。
近藤さんとは、以前見にきて頂いて、劇場で一度二度ご挨拶をしたくらいの間柄。当然、普段から気軽にLINEをするような関係性ではない(聞けば共通の知り合いの観劇巧者の方が繋いでくれたそうで)。

最初は「12人〜をやる東京サンシャインボーイズのメンバーに俺が言うことなんて何もないんじゃ…?」とも思ったけど、Zoomの上で演劇をやるってことなら劇団で経験してる(かげきは〜パイロット版の朗読Ver)ので、そこら辺を担わせてもらいました。

演出として狙ったところは、Zoomから一人一人が退室していくところの雰囲気。個人的に三谷作品はエピローグが好きで、『12人〜』も皆が一人ずついなくなっていくところが印象に残ってる。それと、Zoomのウインドウが一個ずつ減っていくときの情感がマッチするなと思いまして。
個人的にね、物語の情緒をテクノロジーとかデジタルなものとか機械とかで表現するのが好きなんですよね。サマータイムマシン・ワンスモアのエアコンとかね。
カーテンコールは俺も近藤さんも二人して「やりましょう」ということでやったら大好評だった。

三谷幸喜さんが冨坂について言及してくれた瞬間にSNSで知り合いが沸いてたのが面白かったけど、個人的には映像と音のオペでド緊張してて喜ぶどころじゃなかったのでした。だって1万3千人の見てる作品のオペよ?(笑)

この企画のすごいところは、もちろん俺の仕事なんかじゃなくて、脚本の力だけでもなくて演技の力だけでもなくて、奇跡的なコンセプトなんだと思ってます。
世界中みんなが「いつものメンツと会えない」ときに、「かつての仲間が集結」して名作を上演したということ。
おそらく発起人の近藤さんすらそこまで狙ってないと思うけど、再開すること、集まることへの憧れが、この企画をすごいものに押し上げたんじゃないかと。
リモート演劇をお祭りにする、体験にするのって、映像技術じゃなくてこう言うことなんじゃないかと思う。

●『ナイゲン(朗読版)』

【5月30日(水)〜31日(木)@YouTube Live】

Zoomでかげきは〜(パイロット版)を朗読した時からうすうす思っていたけど、『12人〜』の演出をしたら、堪えきれなくなってしまって、やりました。

なんかね、12人〜を褒められれば褒められるほど、嬉しい反面、「くそー!サンシャインボーイズめ…!いいなぁ…!」という嫉妬の気持ちが湧き上がってきてしまいまして笑
そう、とんでもなくありがたい機会だったけど、あれは俺にとって栄光でもなけりゃ夢の達成でもないんですよね。だってあれ三谷さんの作品なんだもん。自分のじゃないんだもん。

ということで、『ナイゲン』をやりました。Zoom→YouTube Liveで。
12人〜の経験と反省も詰め込んで、アップデートしてやるって気概で。
もちろん視聴者数や反響は全然敵わなかったけど、『12人の優しい日本人 を読む会』にかなり負けない、良い芝居になったと自負してます。

やっぱアガリスクエンターテイメントの面々、ナイゲンが異常に上手い。
そしてこの作品の戯曲は、巧くはないけど謎の強さがある。
戯曲には、情報を出す手際とか、進行のスピードとか、伏線の貼り方とか、良いセリフとか、そういったチェックをつけて上手にチューンナップしていくのとは別の次元で、「迫力」みたいなものがあるとハッキリわかりました。

もう包み隠さず言うけど、この作品、やりたい気持ちは常にある。でも劇団でやるにはなにかしらの強い言い訳が必要なんですよね。コロナ禍とか自粛期間とかはそれだった。

でも、またやりたい。

●『Send The Theater〜劇場を届けよう〜』で生配信劇『Masked』

【6月20日(土)〜6月21日(日)@YouTube Live】

サンモールスタジオからの劇場を使っての生配信に挑戦した「Send The Theater 劇場を届けよう」に参加したときのアガリスク作品。

これからの演劇公演は生配信と併用していくのがデフォになりそうだし、せっかくだからその知見を得ようじゃないか、と思って新作を作って参加してみました。

「“マスクの着用を義務付けられた状況でのコメディを考えてみました”とか言いながら仮面舞踏会の芝居をやるのどう?」とかテンション上がって提案したら、参加した熊谷さんも伊藤さんもジャンプさんも顕史郎さんも「…?」とポカンとしてたのが思い出。

顕史郎さんともかなりじっくりガッツリ作品作りをできた(いつもは大所帯だし、短い出番でキュッとしめてもらう役割だし)のが楽しかったのと、作品的には、「俺、こういうホームコメディみたいなの意外といけるなー」という発見でした。

●『かげきはたちのいるところ』ドラマ版

【10月28日〜毎月第4木曜日@観劇三昧】

今年の7月から12月まで丸半年間を費やした、自分としては一番大きな仕事でした。
撮影が9月と12月に分かれてたのもあって、もはや2公演くらい打った感覚。まだまだ6話中3話分の編集作業が残ってるんですが。

もともと、シットコムの映像作品って劇団なら作れるよなー(固定のメンバーが常駐している、長期間に渡ってもなんとかなる)とか思ってました。
いつか、公開収録で(それこそ『HR』みたいに)やれたらなーと思っていたけど、前述の『Masked』の稽古中に熊谷さんと雑談してたら「おや…?できるのか…?」という気がしてきたので、皆に提案してやってみることにした。

……こんなに大変だったとはな!!

6話分書いて稽古するだけじゃなくて、撮影すること、撮影の準備をすること、編集して仕上げをすることがこんなに大変だと思っていなかった。
舐めてはいなかったし、強敵だとは思ってたけど、さらに強敵だった。

でも、なんだか、アガリスク旗揚げの演劇始めたての頃を思い出した。
何もルーティンになってなくて、全部手作りで、役者も全員スタッフになって手探りをしていた頃。

聴者数とか反響とか、そういった結果は芳しくないし、まだまだ頑張らなきゃいけないところで。
作品の反省も、創作過程の反省も、企画そのものへの反省も山積みなんだけど、下手したら普段の演劇公演以上に「劇団やってんな!」って思えた創作でした。

■2話の本編■

■予告編■


●まとめ

…とまぁ、今年も色々作ってこれました。

世界中で大変な目に遭っている人が多かったり、自分も舞台ができなくなったりしたことは悲しいけれど、「コロナ禍」と呼ばれる状況がなかったときより、作品数は作ったんじゃないかと思うくらい。わかんないですけどね。

今年もたくさん応援していただき、誠にありがとうございました。
来年も、天変地異や疫病の有無なんて予想できないけど、どんな状況でもなにかしら作品を作って発表していくと思うので、よろしくお願いします。

まずは『かげきはたちのいるところ』舞台版だな〜