今度は作ったものを振り返ります。
【1月】
◎新宿コントレックスVol.3
今までで唯一、アガリスクが出演しなかったコントレックス。出演しなきゃダメだな、と痛感。
【2月】
『異性人/静かに殺したい』執筆
台本書いてた。のみ。
【3月】
◎『異性人/静かに殺したい』
『静かに殺したい』では斉藤コータ×後藤慧のラストのお任せのところが超絶面白かったけど、それって俺が半ば投げたみたいなモンなので、ウケてホッとしつつ悔しい面も。
『異性人』では、ワンシチュエーションじゃないし後半笑いも狙わないし…っていう異色作になった。ご好評頂いたりもするけど、今にして思うと、あのテーマを物語に押し込めた時点で終わっちゃってて、それってコメディ劇団として完成じゃないのではないか、という気もしてくる。全編を止まらず突っ走るコメディ(一幕モノじゃないにしろ)に置き換えて作ったらまだまだイケる気がする。いつか長編でやりマース。
◎『2+1』
上記の異性人/静かに~に付随してやったAC(アガリスクコント)単独ライブ。千秋楽のあとに1ステだけやったんだけど、お客さんも公演本編見ちゃってるから足を運びづらいし、我々は超大変だし、色々超大変だった。
ネタだけ決まってて進行はアドリブに近いラフなコントだった。ウケこそしたものの、やっぱラフなのは大変。ちゃんと作りこまなきゃね。
【4月】
◎新宿コントレックスVol.4『2+1』『擬音精舎』
『2+1』は前述の通り。コントとして固めようとしたらイマイチ面白くなかったからそのままやったらやっぱりフワフワした。そもそもこれは「鹿島加入」(役者2人のところに1人追加される)を意味を持つコントでしかないので、もうやんないと思う。
『擬音精舎』は、悪ふざけがすぎた感じ。というか『2+1』というラフなネタと一緒に同じように台詞で固めないのをやったのがマズかった。
【5月】
◎翠組『放課後サマージャム』執筆
初の長編書き下ろし脚本提供。超大変だった…
◎新宿コントレックスVol.5『エクストリーム・シチュエーションコメディ(ペア)淺越×塩原組』
またしてもやったエクストリームだけど、「丁寧にやろう」をモットーに稽古して、世界からハミ出すネタも少し整理して臨んだ。ネタの性質上序盤は重いんだけど、最後の方は完全にもっていかせてもらった。やっぱこれだよね、このネタだよね、と再確認。ただ「何度もやりすぎ」って意見もあるんだけど。
これは共演のシガラキ主宰細居さんが素晴らしい撮影編集をしてくれて映像化されてます。これ。
【6月】
◎翠組『放課後サマージャム』観た
前述の、初の長編書き下ろし脚本提供が上演されてる様を見た。演出の保木本さんにかなり助けられてるなぁというのと、「これでどうだ!」って自信持って言えるまで仕上げられなかったのを反省するなど。
◎『ナイゲン』写真撮影の旅
ナイゲンのチラシ裏面の出演者写真を撮ってまわってた。急遽決まって、出演者が集まれなかったので制服と道具を持って会いに行ってゲリラ撮影っていう。そして撮ったのがこのサイトにも使ったこの写真。
【7月】
◎新宿コントレックスVol.6『お父さんをください』
「父親が彼氏を作って娘に合わせる」という同性愛テーマからの近親愛から…とどんどん話が大きくなっていくコント。稽古場で心配してた序盤の会話のネタが思った以上にウケて、終盤の自信持ってた超展開が「?」ついたまま過ぎていって、そしてラストで大きいミスがあったりと、予想外のことが頻発した。全体的に均せば結構ウケていたし、「これ好き」と言ってくれる方もいるし、終盤をリベンジしたいので、またやります。3人組コントの決定版はこれにする。一応下手からの映像だけあります。
【8月】
◎『ナイゲン』台本執筆
ナイゲンの台本書きが本格化すると同時にメインのデスクトップPCが壊れる。自分史上最長の台本をネットブックで書く。
【9月】
◎『ナイゲン』
思い切って真っ直ぐに「お話だよー」「人物をストレートに演じるよー」というのをやってみたところ、大変ご好評いただき、自分的にもしっくり来る。
最後の方とか、いわゆる“いい台詞”みたいなこと言わせても全然恥ずかしくならなかった。のは、ちゃんと確信があって、ちゃんと身のある実のあることを語ってたからでしょうか。国府台とか自治とかについての、一番確信の持てる内容。
良い意味で自分が書いてる気がしなかったというか。だけど自分の考えてることの芯を捉えてるので、「誰かが、俺の一番思ってることを表現してくれた!」みたいな目線で見えたので、恥ずかしくないし気に入ってるのかも。
やっぱり芝居書くならこのくらい確信のあることを、血肉になってることを扱わなきゃ駄目だよなぁと思う反面、一人の人間の中にそんなに書きたいものってあるの?という不安も。
まぁ、脚本や演劇公演という具体的な括りだと、もちろん反省点が山ほどあるんだけど。
得た教訓は、「場所や人物を具体的にストレートに設定する方が似合う」「物語や芝居としてお客さんを掴んどけば、何もない状態で大きいネタを作動させるよりウケる」「脚本執筆は、準備の段階では極めてパーソナルに、確信のあることを取り上げる。書くときは最適化とサービス精神に割り切る」あたり。もちろん、現時点で思うことだし、現時点のアガリスクでのオリジナルの戯曲書くときは、って条件つきだけど。
さて、ナイゲンはまだやりたい。
【10月】
◎特になし
【11月】
◎MU Bootleg vol.3『週末たち』用の『ジャンクション』執筆
以前38mmなぐりーずに提供したコントを設定を変えて書き直し、MUの短編集に提供。
【12月】
◎MU Bootleg vol.3『週末たち』の中の『ジャンクション』観る
メインの3人を男女反転、アイドルグループからアカペラグループに変更。
男女反転してみたところ、演出のアユムさんのディレクションも相まって、色恋の香りがしてくるという新発見。
「男女反転、こいつぁ面白い」と思った。
◎新宿コントレックスVol.7用稽古
エクストリーム・シチュエーションコメディの女版を作っていました。
【総括】
なんやかんや言ってナイゲンが大きかった。今まで屁理屈感・ヒネてる感を押し出していたところ、ナイゲンで全然違う路線で(いや、共通してもいるんだけど)いい感じのものを作れてしまって、結構演劇感が変わった。どの変が変わったかって、いやここには書かないけど。
ぶっちゃけて言うと、他所に脚本提供するときより自分のところでやる方が圧倒的に上手くいっている、作品としてハマっている傾向にあるのです。例えば自分の体験を下敷きにしていたり、例えばアガリスクメンバーオンリー出演のコントであったり、そういったパーソナルなものは上手くいった何かを、外部に提供するときに発揮できていない傾向があるので、そこんとこを何とかしなきゃ、と思うしだいです、はい。
月: 2012年12月
2012年を振り返る【今年の演劇鑑賞BEST5】
さて、今年観たものBEST5を映画・演劇で書こうと思ったら映画だけで結構な長さになってしまったので、別エントリで演劇版を書きますよ、と。
■演劇編■
第5位 38mmなぐりーず『だから、1周年なんだってばぁぁぁぁ!!!!汗』
はい、のっけから一番の(個人的)問題作。超迷ったなぁ。
そもそも自分とこのグループの関係で言うと、2011年末のお披露目ライブで、持ち歌が少ないからと設けられたコントの台本を書かせてもらった、という間柄。それはおかげさまでリライトしてMUにも提供出来たので良い機会を頂いたなぁという感じ。
で、問題は、「このグループをどう見るか」という話なんですよ。プロデューサーから聞いたコンセプトの「アイドル活動を通して彼女ら、そして小劇場演劇を演劇界隈の外に発信する」という趣旨はとても素晴らしい理念だと思う。尊敬する(まぁアイドルをやるのが純粋に手段として最も効果的なのかは少し疑問もあるけど)。
ただ、いかんせん小劇場の内側しか向いてないのではないか?という疑問とか、「小劇場で女優やってる」ってのが世間一般に対してオリジナリティとして響くのかなぁとか、世間でしのぎを削ってるアイドル達の“青春の全てかけてる感”に比べて活動の頻度少ないよなぁとか、他の芝居とかけ持ちだしなぁとか、勝手ながら色々思ってしまって「本気なの…?」と思う節が徐々に高まっていってた。
だけど、今度外部のアイドルイベントに出演が決まったという話や、プロデューサーが当初の思いを忘れずにやってたということを知り、モヤモヤを抱えたままだけど一周年のライブに行かせてもらったところ…
…予想以上に楽しくて。
それは、他のアイドルと同じ枠で評価してるのか、知り合いの女優が頑張ってるから好感を持ったのか、どっちなのかは未だに判別できないんだけど。でもステージ上の姿を見てると彼女らのことを悪し様に言うことは絶対できない気分になった。
「“アイドルをやる”という広義の演劇活動とみればいいのか?」「じゃあ何があればアイドルなんだ?」「手放しで小劇場の救世主みたいな扱いは出来ないよな」「彼女らの活動で直接世間に向かってアピールする効果は無くても、小劇場界隈のマスコットとかアイコンにはなるだろうしそれでいいのでは」「理屈では首肯できなくても生でその姿を見てると何か肯定させられてしまう、ってそれこそ演劇やライブの醍醐味だよな」などなど、頭の中でこの 38mmなぐりーず という集団を活動をどう捉えたらいいのかという問いがグルグルしてる状態。
というわけで、満足度・好みなどで本当に自分にとってベストだったのかという疑問は尽きないけど、考えさせられた時間・影響力という点を鑑みてエイヤッと5位。
今度、池袋かどこかでアイドルイベントに出るみたいです。そこでの世間の反応と当人達の反応が気になってしょうがない。
第4位 MCR『俺以上の無駄はない』
5位で長く書きすぎた…パッといきます。
面白かった!脚本演出主演の櫻井さんカッコよすぎ。見てすぐ思ったのが、「脚本上手い」「演出上手い」「演技上手い」とかじゃなく、「演劇うめー!」という分析できない何かの積み重ねの実感。
あとは「自分は演劇では面白い会話と面白い展開、要は面白い“お話”が見たいよ」という思いを強くした。ポストドラマとかあんま興味ないわ、やっぱ。って。
これも、正直言うと主人公の言ってる理屈がちょっとわかんなかったり、善の姉と悪の姉の配置で「?」「なにをどう象徴させてるんだ?」と疑問符はついたんだけど、前述の「演劇うめー!」で完全にノックアウトされたから最後は「そんなの関係ねぇ!」って気分で劇場を出た。
第3位 風琴工房『記憶、或いは辺境』
同じような“お話”の作品で、しかももっとカチッとした脚本の、ガッチガチに良く出来た演劇。
脚本だけじゃなく演出も演技もスタッフワークも全部がしっかりしすぎてて、終演後「面白かった…」としか言いようが無かった作品だった。
戦争や民族や歴史など大きなものに翻弄される人々のラブストーリー…って聞くと何万回聞いたかわかんないけど、良い話を普通にシッカリやるとここまで面白いのかよ演劇って!と、希望のようなとんでもない課題のようなものを見せられた印象。
ほら、やっぱり「面白い会話と面白い展開、要は面白い“お話”が見たいよ」なんだってば。
第2位 ロロ『LOVE02』
と、ここでいきなり“普通の良く出来た物語”とは毛色が違うのが入ってきちゃうんだけど…。
何故か自転車漕ぐし、漕いだら女の子の電球が光るし、奥の壁も光るし、恋して成仏できない幽霊がいるし、天国にラブレターを紙飛行機にして飛ばすし…ってあれ、書いてると“不思議な表現”ってより“こっ恥ずかしい胸キュン展開”になってきたぞ?
そう、まさに不思議な設定がどんどん恥ずかしいくらい真っ直ぐでストレートな恋の話になっていく芝居で。
基本的にこういうオシャレ空間演出と不思議な話って嫌いなんだけど、そんなの関係なく食らってしまった。
全部を通して「恋!」に結実する印象しかなくて、具体的にどういう話かは説明できないし覚えてもいないんだけど、「恋のこの“感じ”」「“感じ”だよ!」と。
何にも言ってないに等しい文章になっちゃったよ。
“好きな人の耳元で愛を叫ぶんだけど自分が幽霊だから全然届かなくて凹む福原冠”を見られたのは珍しすぎて感動した。本人の性格的にも他の芝居的にも超珍しくて、でもだからこそ超胸を打った。そんな人もどんな人もそうなっちゃうのが恋だよね、と。
第1位 ヨーロッパ企画『月とスイートスポット』
正直、今までに挙げた2,3,4位が僅差のトップグループで、だけど圧倒的1位がなかったなぁ今年は。と思っていたら年末のヨーロッパ企画が全部持っていった。
まずね、宣伝の方法に文句を言いたい(笑)前作『ロベルトの操縦』がそこまでじゃなくて、かつ金欠だったのもあり鑑賞を諦めかけてて、漠然とした好評を聞きつけて千秋楽に当日券予約で駆け込んだもの。もっと早くこういうのだと知ってれば早くに見てみんなを誘ったのに!「漂流」とか「狭間っていう空間が…」みたいな漠然とした情報しか宣伝には出てこないんだけど、みなさん、これ、バリバリの時間モノですよ!?と。
ヨーロッパ企画で時間モノといえば、言うまでも無く『サマータイムマシン・ブルース』なんだけど、今回はそれを自らアップデートした時間モノ最新作。
『サマー~』のときのようにシーンごとに時間軸が分かれているのではなく、時空の狭間が開いちゃって、現在・過去・未来・もっと過去のそれぞれの人々がカジュアルに行き来しちゃうし、未来のことも知っちゃう。ここがサマー~より確実に先を行っている。
そして、「この薬を打つと過去の幻覚が見える」といって舞台上に出てきた過去ゾーンが、他の人にも見えてしまい「おい、なんで俺にも(過去が)見えてんだよ」「これは誰の主観なんだよ」とツッコむという「世界の認識」をテーマにした漫才って(笑)なんだよそれ、と。「今見えてる世界が誰の主観か」でボケたりツッコんだりする劇団が他にどこにいようか。
終盤に文字通り横入りしてくるアレに対しては、自分も『お父さんを下さい』で扱っていたってのもあって、ちょっと複雑だったけど。
久しぶりにヨーロッパ企画が役名のある芝居、物語のある芝居をしていて嬉しかったし、なにより、サマータイムマシン・ブルースでヨーロッパ企画を知った自分にとっては、このタイミングで時間モノの最新版を見られてとても嬉しかった。そして当たり前だけど超笑ったよ。やっぱ面白いコメディ劇団が一番面白いや。
【総評】
なんだろう…眠すぎてもはやなにも思い浮かばない…。
でもこうして見ると、ストレートに、照れずに作った作品が面白いかったんだな、という傾向は見えるし、そんな感想がナイゲンをつくるときのセンスにも繋がっていたような気がする。
2013年も面白い芝居を沢山見たいですね。そして勿論、それよりもっと面白いのを作りたいのだけど。
2012年を振り返る【今年の映画鑑賞BEST5】
さて、年の瀬ですね。
昨年は年を越すまでにこういった振り返り系の記事が書き終わらず、新年の2日くらいまで書いていたような気がします。今年も12/31にはなってしまいましたが、まだ夕方なので書ききってやろうと思います。
ということでまずは演劇や映画などの「観たもの・鑑賞系」の振り返り!
今年の個人的BEST5を選出して振り返ってみようと思います。
あ、独自の視点とか無いよ!ふっつーだよ!
■映画編■
第5位『SRサイタマノラッパー~ロードサイドの逃亡者~』
今年唯一2回見た作品。
最初は公開初日に行ったんだけど、会って2回目くらいの人と一緒に行ってその人の反応が芳しくなかったり、単純に自分がこの映画の肝である「歌の使い方」をスルーしてしまい、「なんだかものすごいエネルギーだけどどう受け止めていいのやら…」と租借しきれず、楽しめずにいた。で、思って2度目に一人で行ったら例の超ロングの長回しからのお馴染みの『俺らSHO-GUNG』が聞こえる流れでやられた。
あと同居人・淺越の買ってきたサントラを聞いたら『Ending』の次に収録されてる「Keep on Moving」に泣かされた。プロとかアマとか東京とか地方とか関係なく、好きなものを好きで居続けること、やりたい表現をやる続けることをロジック抜きで全肯定していて、なんだかんだで勇気が出る名曲。
第4位『DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on 少女たちは傷つきながら夢を見る』
3位との間で超悩んだんだけど、4位にしました。
2008年のPerfume以降アイドルを好きになっている自分は、AKBのことも「やっぱりすごい頑張ってるすごい人達だよ」とは思ってはいたのだけど、この映画を見たらそれが尊敬に変わった。
「スタッフが不甲斐ないだけの人災だ」とか「無理して過酷っぽく撮ってるだけ」って批判もあるかもしれないけど、それでも、この身の回りのことも見えないような目まぐるしさの渦中にいる彼女らの言葉は、ステージでの姿はとても胸を打つ。
皆が語る、西武ドームでの前田敦子の過呼吸からのフライングゲットは無条件で涙が出るし、ラストの出撃シーンみたいに点呼とってステージに出て行く姿からのエンディング曲『ファースト・ラビット』は超カッコよかった。
主にこの映画の評価はライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフルの放課後ポッドキャストの影響も大きいかもしれないのだけど。この映画について語っている様がすごく楽しい。ラジオでも自分達でも。ある意味一番シネマハスラーの影響を受けた映画かも。
第3位『007:スカイフォール』
ダニエル=クレイグのジェームズ=ボンドが超カッコいい。
もともと自分にとっての007って、テレビでやってるのをチラ見する程度のもので、能動的に1作品を丸ごと見たことは無い作品だった。「なんか昔からあるよね」程度の認識。
だけどやたら評判のいい本作なので観てみることに。町山智浩が「本作見る前に見とけ!」と薦めてたらしい『ゴールドフィンガー』と、ダニエルクレイグ慣れするために借りた『カジノロワイヤル』だけ予習してから映画館へ。
そしたら…超楽しかった。こんな007ビギナーの自分にとっても温故知新やシリーズへのリスペクトがはっきり見て取れるくらいだったし、あんな台詞、あんなアイテム、あんな展開やそのときのあの音楽には映画館でガン上がりしてしまった。そして、無性にスーツを着たくなって帰宅(笑)いや、トムフォードのスーツでダニエル=クレイグの肉体だからカッコいいのは百も承知なんだけど。
第2位『おおかみこどもの雨と雪』
超いい映画であると同時に、個人的にとても喰らってしまった。
前にもこの記事で書いたけど、大事な人と一緒にちゃんと自分の生活を構築していく様が、あんなに魅力的に書かれてしまうと、現在の自分を省みて戸惑ってしまうよ…。
日々の暮らしや大切な人との絆などのいわゆる「生活」を脇に置いといて、非日常を作り出す自分のやりたい「企画」にばかり目を向けてしまう、「ハレ」に逃げてしまう節がある自分の価値観を、そのクオリティでもって揺るがされるっていう…。
そして、「親であることの充実感と孤独」っていう、自分が重視していない部分があんなに感動的に描かれるなんて。
さらに言うと、これを冨坂家の家族それぞれが見に行ったタイミングで、自分含め成人した子供達が揃って母親に心配をかける出来事があり、映画内の「子供の自立」であんなに感動したばっかりなのに現実で子供達の不甲斐なさを目撃した母親の心境はいかばかりか…と察して余りある。おかあさんごめんなさい。
まぁ色々と、「痛い痛い」という世間一般と違う目線で評価して忘れがたい映画になりました。
第1位『高地戦』
文句なしに映画館で一番興奮した映画。
演出の味付けが若干濃いめだったり、伏線を回収しすぎて世界が狭く感じたり、出てくる奴等が美男美女すぎ、って気もしなくは無いけど、「…でもそんなの関係ねぇ!」って感じ。だってそれってこの映画をエンターテイメントとして当てるぞ!って気概じゃん。
これまた予習のために南北分断ものの作品を沢山見てから臨んだんだけど、おれやっぱりこのテーマに弱いわ。いや、全然グッと来てる場合じゃない現実の問題なんだけど、物語として破壊力持ちすぎでしょ、この状況。
南北分断サスペンスアクションの名作『JSA』の例に漏れず、やっぱり北朝鮮と韓国が現場の兵士レベルで交流しちゃってたり、友情のようなものが芽生えたりするのに微笑ましく思うんだけど、それだけに終わらない悲劇が待っている。
公開終了したからネタバレしちゃうけど、そんな南北分断ものでありながら「南北ともに現場は停戦を望みつつ渋々やってた戦争」で「ようやく停戦が決まって歓喜した直後」に「でも停戦は12時間後に有効になります、それまで陣取り合戦を続けなさい」と、停戦を知った上でやりたくも無い戦闘(しかも最後の最後だからと一番激しい総力戦)を強いられる前線の悲劇がやばい。
「もう戦わなくってもいいんだよ!バーニィー!」って何度心の中で叫んだことか!面と向かって殺しあってる相手は北朝鮮の兵士であり、韓国の兵士だけど!本当の敵は!「戦争」そのものだよ!と誰もが心の中で叫びながら殺しあう悲劇。これ残酷すぎでしょ。
Twitterでも書いたけど、そういう意味で『0080ポケットの中の戦争』がポケットに収まりきらず高地一杯に充満してる映画。最低の戦場を舞台にした最高の映画。戦争映画とポケ戦とイデオン発動編が好きな人はマスト。
【総評】
今年は こんな感じ で19本を映画館で観た。ウィークエンドシャッフルのシネマハスラーで当たったのばっかり、しかもハスラーに限らず評判を聞いて良さそうなのばっかり行くという安全パイすぎる映画鑑賞体験でした。おかげさまで面白い作品ばっかり観た年だったけど、来年は自分の嗅覚で探り当てたいところですね。
アイデアメモ 職員室・生徒規制型コメディ
悪気はないのに、状況が悪い方に転がり続けるせいでどんどん生徒を規制をしなきゃいけないくなってくるという職員室(ないし職員会議)シチュエーションコメディ。
演劇って、基本的に「規制される」「自由を奪われる」側目線の話が多いなぁと思う。
それ自体が悪いことじゃないし、まぁお話なんてのは虐げられる側の武器なのもわかる。ジャンルとして根が反体制ってのもあるのかもしれないし。
そこで、シチュエーションコメディによくある「やりたくないのにせざるを得ない」「何かを強いられる」という形式を使って「規制する側」を描く、ナイゲンとは別サイドの自治の話。
ただ、「先生達だって大変なんだよ」みたいに逆サイドを描いただけでドヤ顏して終わるのは違うので、甘ったるい理論で規制に反対する生徒をdisりつつも憎からず(羨ましく)思ったり、「規制すること」に対しては「くだらねぇ」であり、それを招いてしまうことにアンチを唱えるのかなぁ…。
いやぁ、どういう結論で終わらせるかが難しいな。
生徒の青さを批判しつつ憎からず思っちゃう展開にするとして、だからって先生がラストで、それまで積み重ねた様々な規制を撤回するとかだと甘すぎて死だし。
かといって「生徒のために敵として、反面教師でいよう」みたいな泣いた赤鬼スタイルも安易だしなぁ。
目線が難しいぜ…。
月とスイートスポットと私
ヨーロッパ企画『月とスイートスポット』鑑賞。
東京千秋楽だしこれだけは言っちゃうけど、サマータイムマシンブルース観て憧れた人には必見の作品だった。アレの発展系だし、視点を「未来→過去」に限らず、時空の狭間を現在、過去、過去の過去が行き交いモヤモヤし合う“くだらないSF”の最新進化系。
ただ、終盤のアレに関しては俺も『お父さんをください』でやったからな!と意地を張ってしまって素直に笑えなかった(笑) いや、面白かったけど。
思えば、かつての俺は三谷幸喜作品に触発されてオリジナルのシチュエーションコメディを志し、ヨーロッパ企画に憧れて劇団を立ち上げたものでした。
そっからはご多聞に漏れずヨーロッパフォロワー的作品を重ねてしまった時期も長く、そのときの作品が一番恥ずかしくて過去改変したいくらいなんだけど、ここ最近(ルデコあたりから)ようやくフォロワーを脱しはじめ、最新作『ナイゲン』では遂にヨーロッパ企画の毛色なんて全く見えない、むしろ「国府台高校」っていう地金と三谷作品『12人~』を掛け合わせたような作品が出来たわけで。
そんな今のタイミングで、自分がヨーロッパ企画と出会った『サマータイムマシンブルース』の発展系を観たというのは、何か感慨深いものがあるのです。
文章にして書いててもうまく言えないというか関係無いというか、こじつけに見えるのだけど。
とにかく、発売したら久しぶりにヨーロッパDVDを買おうと思う。
エヴァQ観た/主夫/妄想段階の二人芝居
レビューなんて言うほど書かないので日記です。
エヴァQを観た。
破でアガった人達が軒並み「ポカーンだった」「別物だった」「全然わかんなかった」って話ばかり聞いていたので、そう言われるとどうしよっかなーと思っていたが、1000円のファーストデーなので思い切って行ってきた。
結果、
新事実がバカスカ出てきて情報的には追いつかないくらいで、表現自体が難解だったり抽象的だったりじゃないので、感覚的に合う/合わないの世界じゃなかったのは良かった。
えー、以下で若干のネタバレ含みますので、見たい人は反転させてね。
【エヴァQネタバレ】
●自分はカオル君が出てくると大抵ウゲーってなるタイプの視聴者だったんだけど、今回はカオル君が出まくるものの、みんなが教えて欲しかったことを彼が明かしてくれたから、それに免じて許す。
●そっから先のシンジ君のやる気状態は、全然感情の流れが見えなかったけど、それはもうエヴァってそういうもんだから気にしない。
●「アスカが頑張ってるとそれだけで泣けてくる」と誰かが言っていたけど、それに同感。いやぁ元気で、しっかり頑張れてて良かったね(涙)
●エクセリヲン的というかネオ・ノーチラス号的な、庵野戦艦描写が単純に楽しかった。
●彼らには申し訳ないけど、エヴァ同士が戦うとアガってしまうよね。
●ラスト、ウジウジしてるシンジ君に対するアスカの対応が大人で、というか現実的(回収してもらうためにドコソコまで歩いていくよ、ホラ!みたいなの)で、とてもスッキリした。
いつだかに人にもらった、『ケンタロウの和食 ムズカシイこと、ぬき!』を暇つぶしに読み返したら、料理熱が高まってやばい。いま家に食材少なかったから何もしなかったけど、色々あったら速攻深夜に料理しだしてた。
ナイゲンが終わって1ヶ月ほどしてから(つまり今から1ヶ月くらい前から)、料理を中心に家事に目覚めつつあり、「主夫になりたい」「主夫になって家事をしつつ、空いた時間で台本を書きたい」「家で沢山仕事があるのって全然苦じゃねぇわ俺」と思ったのだけど、それって台本は書けるけど演出とか打ち合わせが出来ない=自主公演が打てないってことなので、却下した。
いや別に主夫になるアテすら全くないのだけど。
そして「アテがない」といえば、上演のアテがないけどコータさんと信原さんの二人芝居の台本を書いてみようと思っている。斉藤コータ(コメディユニット磯川家)と信原久美子(コメディユニット磯川家)の二人。
先日、コータさんと信原さんのTwitterでのやりとり
@kumi1216: あほなこと言うとらんと、寝ろや。”@s03123kouta: なんかこの時間にテンション上がってきた。今から本番できるぐらいだ!本番って言ってもお芝居の本番ね!まぁお芝居じゃない本番も出来るけど!今からうちに来たら本番出来るぜ!
に
@yu_tomisaka: やっぱこのやりとりですよ RT @kumi1216: あほなこと言うとらんと、寝ろや。”@s03123kouta: なんかこの時間にテンション上がってきた。今から本番できるぐらいだ!本番って言ってもお芝居の本番ね!まぁお芝居じゃない本番も出来るけど!今からうちに来たら本番出来るぜ!
と書いたら
@s03123kouta: @yu_tomisaka @kumi1216 是非二人芝居書いてください!
となって、
@kumi1216: @yu_tomisaka 冨坂くんが書いてくれるならやりたい!
となり、
@yu_tomisaka: @yoshinonopapa @kumi1216 じゃあ書く!機会があれば使ってやって下さい。
@yu_tomisaka: @kumi1216 少人数の会話劇スタイルの居付くタイプの話を書きたかったのです。んで、言われて気づいたけどお二人似合いすぎるので、結構やる気です。宛てがなくても趣味で書きますね。
@yu_tomisaka: @s03123kouta @kumi1216 今度会うときまでに妄想膨らませといて、どんなのやりたいか話します?台本が出来て(それがちゃんと面白くてw)、二人のスケジュールが合ったら、そこから考える、ぐらいのゆるさで。
となった。
ワンシチュエーションの二人芝居(コントよりお話寄りで、あんまトリッキーな表現しない会話劇タイプの)を書きたかったのもあるんだけど、なにより斉藤コータ×信原久美子ってペアが、男女ペアものとして理想的すぎて、上演決まってなくてもアガリスク作品じゃなくてもお金もらわなくても書きたくなってしまったのでした。
まぁ、いつ書けるかわからないし、気に入ってもらうかわからないし、巡り合わせ的に上演できるかわからないのだけど、出来たらやります。たぶん楽しいのを。
締め切りがなきゃ台本なんて書けない気もするけど、コレはあんまり急いた作品にはしたくない気分。
LINEとかMLとか
LINEってなんなのだ。
前から「無料通話アプリ」として携帯に入れはしたものの、放置してた。
みんながLINEでのトークが便利便利っていうから少しやってみたんだけど、「Twitterでよくね…?」「メーリスでよくね…?」という疑問符が飛びまくった。
いや、わかるんすよ?Twitterとかチャットみたいに気軽に放り投げられて、かつ非公開で出来る、と。さらにメーリングリスト作るよりラフにグループを設定できる、と。
(…あれ、こう書いてたらメリットばっかな気がしてきた)
でも、なんていうんんだろう…?棲み分け?使い分け?がなんとも整理できないので、多分やりません…。
うーむ、よくわからん。
にしても、その話をしてて思ったけど、最近はアガリスクメーリス少ないよな。誰かからの報告書みたいな位置づけになっちゃってる。コミュニケーションツールじゃなくなってる。
かつて拠点を持たない流浪の民だった我々を結んでいたのは、一般常識では考えられないほどのメーリングリストの投稿数だったというのに。
くだらないネタを投げるTwitterというブラックボックスが出来たのと、ACとかそういう個別のプロジェクトが出来て個人メールで連絡取り出したのが原因か。
よし、もっとメーリスを送ろう。
かつてアガリスクとはメーリングリストだった。