さて、昼間寝て、夕方からゆっくり2011を振り返って書き始めようと思ったけど起きたら22時で、なんやかんやで23時なので、急ぎ目で行く。
【冨坂的2011年の作品~演劇編~】
1位…イキウメ『散歩する侵略者』
2位…イキウメ『太陽』
3位…ままごと『わが星』
自分的に、今年は圧倒的にイキウメの年だった。ストレートな演劇なんだけど、物語として圧倒的に面白い。そして舞台の使い方、演技、その他の演出も、ちょうど一番好みの具合だった。
今までの年に比べて、シアタートラムとかそういった少し大きめの劇場に行く機会が増え、そして自分は好み的にトラムでやってる芝居に行けばいいんじゃね?と思ってしまった。ある程度大きいところでやる、演劇通以外を向いた、少し大人の目線を意識したくらいの作品(自然、カタいストレートプレイがおおくなりがち)だからだろうか。
ま、その反面、参宮橋トランスミッションで、着替えるところも見せながら気取らずに劇団員でキャッキャしてるコーヒーカップオーケストラや、新宿コントレックスでわけのわからない爆発を見せるゾンビジャパンとか、お話お話してないラフな面白い人達にも心を奪われた。やっぱね、どっちかですよね。コーヒーカップオーケストラは今の東京の小劇場演劇界で一番、アイドルユニットに近い集団だと思う。
男性アイドルユニットと言ったら、嵐・SMAP・コーヒーカップ!
【冨坂的2011年の作品~映画編~】
1位…『その街のこども 劇場版』
2位…『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』
3位…『SUPER!』
特別賞(長澤まさみ賞)…『岳』
今年は『その街のこども』ですね、やはり。昨年のテレビの映画版だし、公開も昨年末からだけど、いいんです。今年、『大空襲イヴ』前は忙しくて観にいけず、終わってからいろいろなところを探して川越やら東十条やら観に行った。そして、タマフルのシネマハスラーにて宇多丸の批評を夜の街で聞いて涙ぐんだことも。
『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』はこれを読んで。
『SUPER!』は、『キックアス』で不満というかノレなかった部分に回答を出していてスッキリすると同時に、お話としてはスッキリさせてくれない圧倒的に巨大なモヤモヤに打ちのめされた。
特別賞の『岳』は、映画としてはアレなんだけど、長澤まさみの弾ける「タナベ感(タナベ=漫画・アニメ「プラネテス」のヒロイン)」に打たれて、二度観に行ってしまった。みんなモテキの長澤まさみを推すんだけど、そしてそれは正しいんだけど、モテキほど長澤まさみ感をフィーチャーしてない『岳』の方が、逆に長澤まさみ力が浮かび上がるというか。ネットの掲示板で長澤まさみ劣化説を見るたびに「馬鹿か!」と思っていました、確かに佐々木希はきれいな作りだし石原さとみも一気に可愛くなってるけど、2011年最強のヒロインは長澤まさみです!(キリッ)
【冨坂的2011年の作品~楽曲編~】
1位…RHYMESTER『そしてまた歌いだす』
2位…Perfume『心のスポーツ』
3位…ももいろクローバー『走れ!』
『そしてまた歌いだす』は、後述の大空襲イヴまわりで、絶対に忘れられなくなった曲。詳しく書くとJA○RACさんに怒られるのでアレだけど、アガリスクの公演で最も曲と作品が意味を持った一件。歌ってる場合ですよ!
『心のスポーツ』は待ちに待ったPerfume先輩のアルバムより一曲。『MY COLOR』『Have a stroll』とも迷ったんだけど、ま、気分でこっちに。「J-POP内でのPerfume」の立ち位置を考えるのでなく「世界の中のJ-POP(歌謡曲)」を意識したからのこの昭和アイドル歌謡曲路線の美メロか。そしてPerfumeらしい良さもしっかり。いや俺、ホントこの人達すき。
『走れ!』は全然今年の曲じゃないんだけど、今年一気に引き寄せられたももいろクローバーの曲で、一番聞いたのがコレ。最近、ももクロじゃなくてこの曲(のパフォーマンス)が好きなんじゃないか、って気もしてきた。TIF2010動画を何回観たことか。で、心を奪われるたびに「ダメだ!俺にはPerfumeが…!Perfumeがいるんだ…!」ってなってたwでものっちが「ももクロが好き」って言ってたから何か安心してももクロのDVDを買えた←(何)
【追記しました】
では、ここから、冨坂近辺の生活を振り返りる。ほとんどアガリスク的重大ニュースと一緒なんだけど。
3月 大空襲イヴ決行
何よりも、まず震災のことが思い出されるのだろうけど、自分にとって、震災であると同時に“『大空襲イヴ』の思い出”として刻み込まれている。
地震当日は稽古場に役者を待たせながら前の職場(ロードサービス手配)で電話を受けていて、みんなが机の下に隠れているのに偶然俺だけ電話を取っており、離れるに離れられなかったからそのまま相手と話していた。ロードサービスの会員からで「なんか道がまっすぐなのに車が超揺れるんですけど!」と聞かれたから「地震です」と答えた間抜けな問答など。
その後、変える電車をなくした役者連中がアガリスクハウスに泊まりに来て一緒に鍋をしたり、合宿みたいになっていたから悲壮感が軽くなった部分はあるかも。あと、公演一週間前で気分がスクランブルだったので、なんというか不謹慎な言い方に聞こえるかもしれないけど、自分内では既に平常時より混乱していたからそこまでショックは感じなかった、というか。
で、劇場と交通機関が大丈夫な限り当然公演はやるだろうと思ってたんだけど、一日二日たって、公演を中止する劇団や延期する劇団が増えてきた。内部でも「中止すべき」「延期すべき」などの意見も出てきた。
おれは「あの作品(大空襲前夜でくだらないことに奔走する人々の姿を描く)をやる以上、延期も中止も考えられない」と思っていたので、隣の部屋で劇団員他のメンバーと「やるべき」「中止すべき」を電話で激論しているのを横に聞きつつ、ライムスターの『そしてまた歌いだす』を1曲リピートでヘッドフォンに流しながら、泣きそうになりながら台本を追記してた(ちなみに『そしてまた歌いだす』は、震災直前にリリースされたRHYMESTERのPOP LIFEってアルバム収録曲で、3/12にも放送されたライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフルの一発目で流された曲である)。ちなみにこんとき書いたのが『大空襲イヴ』ラストの10分間くらいの勘違いクライマックスと全員で漫才するみたいなところ。
そして、公演の決行or中止について、ハウスの狭い空き部屋に十何人も車座になって話し合ったり、震災後唯一空いてた下北沢の地価の公共施設で話したり。あの人があんなに泣き、あいつがあんなに意見グラグラさせるの初めて見たぜ、と思うと同時に、「あ、やっぱ自分って辞めることができない人間なんだ」って実感した、良くも悪くも。
で、この方策で上演したことについては良かったと思っているし、全然恥じていない。結果論だろ、って言われりゃそれまでなんだけど。「人々に一刻も早く笑顔を」とか言うつもりは全然なかったし、「辞める訳にいかないからやる」っていう極めて自分勝手な動機だったけど、でもやっぱり劇場でお客さんが「久しぶりにちゃんと笑った」とかアンケートに書いてくれると嬉しかった。あと今思い返しても、あの時期に「大災害と隣り合わせ」って設定でコメディをやるのって、すごく意味のあることのように思う。アガリスクの作品が初めて作品を越えて意味を持ったんじゃないかって気もする。酔っちゃいけないし、なんでもかんでも決行する勇気が大事!ってわけじゃないんだけどね。
7月 新宿コントレックス開始
準備してたのは4月からだけど。
その後、シアター・ミラクルを拠点に活動していくにあたり、継続的にAC~アガリスクコント~のネタを発表する場所が欲しいのと、他団体との交流や他団体のファンへの露出を狙って、コントライブを企画。新宿コントレックスが出来たのでした。
最初は秋葉原のDRESS AKIBA HALLで考えていたのだけど、あそこがオムニバスシアターを辞めるというので、思い切ってイベントを主催することにしたのでした。
最初は俺とシアター・ミラクルの星さんとの妄想だったものが、メンバーやアシスタントや参加団体の皆さん、観客の皆さんのおかげで「新宿コントレックス」として認知されていくのは、とても嬉しかった。
いや、普段の演劇公演だってそうなんだけど、なんというんだろう、完全にイチからフォーマットから作ったからなのか。卒業式実行委員会でアレコレやってるときに卒業生に感謝されたときみたいな感覚だった。
そうそう、「新宿コントレックス」ってイベント名は、黒薔薇少女地獄の太田さんの職場のバーで、トリコロールケーキの共同演出の今田さんが第一声に言った案だったのでした。
このイベントは本当に出会いが多くて、色んな劇団とお近づきになれたし、色んな新規のお客さんに見てもらえたし、色んな役者さんと出会えました。最後のに関しては今度のアガリスクのキャスト陣を見ればなるほどって感じです。
次回は1/25(水)にやります。
10月 『ファミリーコンフューザー/無縁バター』
『みんなのへや/無縁バター』から引き続きの二本立て公演。
ファミリーコンフューザーでは初めて家族の話をやった。『大空襲イヴ』の緊急避難的な演出プラン「タスキ」が進化して「名札システム」という演出手法になり、それといつもの“笑えない状況下でコメディやってダブルミーニング”の合わせ技で「ボケで笑いながら無く」を狙っていきました。
題材の扱い方や、コメディにしたことで褒めてくれる方と、劇の構成としてすんなり入れない、と乗れなかった方に二分した作品でした。その分というか、かなり印象には残った公演になったようで、「今年の演劇3本」に選んで頂けたり、多分初日とか千秋楽はアガリスクの公演史上一番ウケたりと、「褒められた、やったー」的な満足はある。
ただ個人的には、やはり50分に押し込めるには巨大すぎる問題だったので、要素的に削った部分(テーマをシンプルにしたりもした)があったり、構成が変だったりと、改善の余地はありすぎるほどあると思ってます。いつか2時間尺でやろうかな、『ファミリーコンフューザー』。
『無縁バター』は、初演で語りきれていなかった部分を、くだらないまましっかり描けて満足。UFOもちゃんと天井から降ってきたし。そして自分はこの再演のラストシーンのような、「良い話は画(登場人物の動作)で見せる」「しかも一見馬鹿っぽい」っていう、このトーンが好きなんだ、と発見。この「物をどう扱うか」で最後を締めるパターンは、今後多用してしまいそうだ(38mmなぐりーずのコントでもやったし)。
10月 仕事的モテキ
『ファミリーコンフューザー/無縁バター』の上演の結果もあってなのか、偶然なのか、脚本家の事務所というかエージェンシーに偶然二箇所から同時にお声がかかり、一番最初にしてまさかの「どちらにしようかな」状態になる。何様か、っつーね。
あと関係ないけど前に登録してた塾講師派遣バイト(一度も就業してない)から「教室長やんない?」って謎のオファー。断ったけど。仕事的モテキが来たかと思った。
11月 夜勤
夜勤開始。これで二本立て稽古のときも副業はバッチリだぜ!(←いつ寝るの?)
以上。
11月 『エクストリーム・シチュエーションコメディ(ペア)』上演
新宿コントレックスVol.2(2011.11.16)で上演。
はい、ただの短編を一本作っただけの話なんだけど、この作品には、アガリスクエンターテイメントの最近の葛藤や呪詛、開き直り、アイデンティティが、全部詰まってるんです。しかもそれが“ネタ”という形式で。
くわしくは ここ に書いたけど、「これこそがアガリスクエンターテイメントだ」って名刺代わりの短編が出来たし、要するに俺らはこういうことがやりたかったんだ!と腑に落ちた。こんなふうにお褒めの言葉を頂いたりね。
逆に、「このネタをやっといて、今後どういうシチュエーションコメディつくるの?」って突きつけられたようで、ウッてなる。『静かに殺したい』どうしようかなぁ。
あと、これ一回しか演ってないから、本物かどうか確かめたいところ。そうじゃないと前に進めないぜ、位の気持ち。
11月 鹿島ゆきこアガリスク加入
『みんなのへや/無縁バター』以来1年越しのあれで鹿島さんがメンバー入り。コレも詳しくは こちら 。
それにより、つまり淺越塩原の役者二人体制が崩れた(崩した)ことにより、役者メンバー拡充&ロードtoテトリミノ再演&ロードtoAC単独公演の道が開かれた。
今まではACを淺越塩原だけの最小単位でやってたんだけど、三人でやるにあたり(今までに作った二人用のネタもやることだし)ネタによって人数は変動するし、色々変わってくるぞ、と。『みんな無縁』からしかアガリスクを知らない鹿島ゆきこという“客観性”がACに入ることでどういった変化があるのか、期待と不安で、でも期待。
そして、役者メンバーを三人でやるからには、三人用の短編、しかもエクストリーム・シチュエーションコメディ級の三人コント決定版を作らなきゃなぁ、と思っている。
ひとまず、次回公演の一番最後のステージはメンバー三人のみのコント集、AC単独公演のお試し版やります。
12月 38mmなぐりーずに脚本提供
なんだかんだで、舞台用の脚本提供って初…だよな?ということで、記念に。
脚本家としても、演出家としても色々勉強になった(くわしくは ここ )。
そしてここに提供した台本、若干手直しして自分で演出したい欲が湧き上がっている。『異性人』のプレ稽古期間にやろうかな。そして台本手放してガチで出来るまでになったら撮ってどっかにアップしようかな。
ということで
アガリスク関連ばっかりになったけど、しょうがないんだよ!それしかやってないんだもん。
特に大空襲イヴは、いくつになっても絶対に忘れられない公演だろうし、いつか再演しなきゃなぁと思っている。
っつーか、今年やった全ての演目について「またやりたい」と思っている。完成度としての未練とか悔いとかじゃなくて、いろんな切り取り方が出来る、密度の高い演目ばかりだった(と思っている)からか。もっと沢山上演して、もっと多くの人に見てもらいたかった。
作品なんてのは、その時その場所でその座組でないとダメだった、っていうものなので、再演なんて中々叶うものじゃないのかもしれないけど。
2012年以降は、ACでの必殺短編をコントレックスはじめ色んなところで上演したり、動画でアクセスできるようにしたり、素敵なつかいまわしを、バンドで言う「曲が育つ」みたいなことも考えていきたいと思っている。
もうあんまりまとまらなくなってきた。
2012年はもっと濃厚な一年になりますように。とりあえず色んな意味でプロくなろうと思う。