『異性人/静かに殺したい』終了致しました(出演者編)

Aga-risk Entertainment第16回公演『異性人/静かに殺したい』終了致しました。
ご来場頂いたお客様・USTREAMでご視聴頂いた方・気にして頂いた方・関係者の皆様、誠にありがとうございました。
さて、何から書いていこうか、大変に迷っている。全体の構成を決めてからスッキリ美しい文章を書いたら気持ちはいいのだけど、誰も俺のブログにそんなの期待してないだろうし、あと、今回はそれは違うと思ったので、思いつくままタイピングしている。
今回の公演は(「お客さんのため」「作品のため」とかは前提なので省くとして)、自分の公演ではなくて役者の公演だったように思う。良くも悪くも。
ということで、出演者について、今さらだけどもう一度書こうと思う。
■淺越岳人(Aga-risk Entertainment)■
『静かに殺したい』近藤役
『異性人』宇宙人A役
ぶっちゃけ『静かに~』ではすぐ死ぬし特筆することはないので、『異性人』のA役について。今までの淺越はこう、気負うというか、プランだけ頭で組み立てて、それに近づけようとするほど力んでダメ、ってことが多かったけど、今回はフラッと何も考えずに舞台に立っていたような気がする。
塩原さんとの冒頭の二人のシーンが魅力無いと終わりの作品だったので、そしてそれは大空襲イヴのリベンジだったりもするので、そこは胸をなでおろしている。あとは「ボケる雰囲気」というか「面白い人」感が少しは見えたのかな、と。
ただ、これはもう役が完全に淺越合わせな訳で、今後どうすんだ、ってのはある。
■鹿島ゆきこ(Aga-risk Entertainment)■
『異性人』ミキ役
メンバーになって初めての公演。メンバーになった途端こき使われていたというか、率先してアレコレ動いてくれてたのでそこらへんの感謝もありつつ、だけど役者としての話をしときますか。
わりと頭で考える側で、しかも「役について」とか考える一般的な役者っぽい感じなので、異性人では苦労をしたと思う。声が落ち着いていて通るので、ともすると「お芝居っぽく」なってしまうので、そこは何度も「ダラしなくやって」「間抜けな声を出して」と言った。あとは関西弁からのイントネーション問題などが大変だったみたい。
実は「あんまり色が無いなー」と思っていた節もあるのだけど、稽古によって色んな事が出来る人だと判明したので、アガリスクがお話をやるときは要になるのかな、と期待している。シャキっとした、バキッとした演出で映えると思うので、どっかでそのスキル盗んできてよ(笑)
今回のミキは鹿島さんが可愛らしく映るのが目標だったので、達成できたようで、かつ終演後に色んな同世代の演出家からお声が掛かったみたいなので嬉しい。
■塩原俊之(Aga-risk Entertainment)■
『静かに殺したい』永山役
『異性人』アキラ役
MUで修行して強くなって帰ってきた感あり。
色んなことを「あくまでネタとして」やる、という部分で前から信頼はしていたんだけど、荒かった目盛りが細かくなった印象。特にお話をやるときに。
永山に関しては人格としてどうなんだ、っていう雑な役だったんだけど、彼のキバヤシっぷりでどうにか持っていきました。
アキラに関しては、「笑わせたいの?深刻にさせたいの?なんなの?」っていうシーンが沢山あり、途中全然わからなくなっていたようだけど、両立に成功したように思う。望月さん演じるマナベと喧嘩別れするシーンと、淺越演じるAと照れ隠しの会話をするシーンなどは、昔のアガリスクだったら絶対に出来なかったシーンだと思う。
あとはやっぱりキレてたり叫んでたりする荒ぶるシーンが似合う。最近、「塩原俊之は、隠したり誤魔化したり困るのよりこっちの方が似合う」と確信した。
■江本和広(ヨコスカトイポップ)■
『静かに殺したい』警官役
座組の良心(笑)ともいうべき存在。その節は大変ご迷惑おかけしました。
公演期間中、役者が慌てたり浮き足立ったときにも落ち着きをくれて、カッチリと取るべきところを押さえてくれた。出番的にも暴れっぷり的にも、お客さん的にはあまり目立たなかったかもしれないけれど、勘違いのくだりは百発百中だったので、そういう手堅い仕事は本当に安心するのだ。
惜しむらくは江本さんの本領であるアクションの要素を余り盛り込めなかったこと。いつか、落ち着いた突っ込みではない、「動」の江本さんを見たいっす。
■如月せいいちろー(ウラダイコク)■
『異性人』宇宙人C役
同じく、座組の良心(笑)。っていうか良心て特筆しなきゃいけないって、どんだけ治安悪い稽古場だったんだ…。
ペアで行動する甲田守の圧倒的な不穏さに合わせてもらっているうちに、いつの間にか同じくらい不穏な宇宙人になっていた。誰が誰と手を繋ぐかを話し合う通称「会議」のシーンで、表情の読めなさと、優しそうな声色、老成したような雰囲気で、えげつない条件を持ちかける様が大変気持ち悪くて(褒め言葉!)素敵だであった。
あと、宇宙人のどことなく哀しく淋しい雰囲気を担っていたのが如月さんだったと、終わってみて思う。望月さんのマナベに手を離されて殺されるのが如月さんだったのは、今思うと必然というか。
上記の江本さんと共通してだけど、自分は作・演出の人の役者としての姿が好き、と発見させてくれた。
■木村ゆう子(帝京大学ヴィクセンズシアター)■
『異性人』ユウコ役。
彼女もまた、その存在・肉体によって役の情報量を圧倒的に膨らませてくれた一人。って言うと大仰なんだけど、当初は「ユウコのモテない感をどこかで描写しなければ」と思っていたのである。しかし、そんなもの台詞で・シーンで書かなくても、全然大丈夫だった。木村ゆう子がやるだけで、「ドラマで、女芸人がやるヒロインの友達ポジション」はあっさり体現された。
中盤の宇宙人Bに吸われる直前の照れるくだりは、毎回「かわいらしい」と「面白い」の中間を突く爆笑シーンになっていたが、あれ、木村さんと甲田守のエチュードを書き起こしただけだからね、言っちゃうと。
若くして落ち着きとツッコミのスキルを有しているのはホントに希少だと思う。山口の田舎で、お笑いのDVDを見てルサンチマンを解消していた彼女が、東京で客席の笑いをとっているとか、涙が出ますね。
ってことで、若い座組みでコメディやる人よ、呼ばない手は無いぜ。そして俺もまた今後ともご一緒したい。
■甲田守■
『異性人』宇宙人B役
アガリスク最多客演回数で、いつもお世話になっているんだけど、座組で一緒になるたびに不思議さが増していくイケメン。
今回の宇宙人B像はそんな彼の不穏な部分をそのまんま映したような役で、これは演技によって再現するとかそういう次元じゃない気がする。妖しい芝居をするとかそういうことじゃなくて、全ての所作にうっすらを不思議さのヴェールが掛かっていた笑。
ただ、我々は過去に彼の熱い芝居も知っているので、次とかはそこらへんも見せてもらいたい。ということで次回公演『ナイゲン』にてわりと真ん中の役をお願いすることが決定。
■後藤慧(コーヒーカップオーケストラ)■
『静かに殺したい』隣人役
「隣人」というより、もはや「過激派」と言ったほうが伝わりやすくなってるかも。色々と過激な事をやってくれた。
新宿コントレックスでの暴れっぷりに惚れ込んでオファー。『静かに殺したい』の、「この作品は役者のもの」感を体現していたのは彼。終盤の展開は完全にお任せ状態で、これはおれが固めて書くより後藤さんに任せたほうが面白いな、と痛感してしまったからなので、実はちょっと悔しい。
脱いでもセクハラしても絶対に嫌われない、なんとも言えない可愛らしさがニクい、羨ましい。千秋楽とかで脱ぎまくって「もうこの劇団には呼ばれないぜ~」とか言ってたけど、今度は後藤さんに任せるより面白いネタを書いて勝負したいので、またご一緒したいっす。
あとアフターイベントでもお願いした落語は本当に格好良いと思う。
■斉藤コータ(コメディユニット磯川家)■
『静かに殺したい』笹井涼介役
片方の作品での絶対的主役。こんなに一人に任せた事ってアガリスク史上無かったんじゃないか。
大空襲イヴで始めてご一緒したときから、その圧倒的な戦闘力に慄いていたので、満を持してファルスの主役をお願いした。準備や稽古時間が少なくてホントすいません、ホントお疲れ様でした。
近くで見て改めて思ったのは、ベタな動きや台詞でも、演じるときの情報量がものすごく多い。だから「○○を隠さなきゃいけない」とかの、このあと笑うために必要なルールを、わざわざ台詞や展開で説明しなくても大丈夫になってしまうほど。コメディとして伝えなきゃいけない沢山の事を、瞬時に他の台詞や動きの中で伝えてしまうのがすごい。処理能力とか表現するスピードがとんでもなく速いのだろう。他の人が8ビートの中、16ビートで刻んでいるというか(音楽の喩えは合ってるかわからないけど)。
稽古終盤とか、その吸収速度もあいまって、サイヤ人かと思った。静かに殺したいはいつか膨らませて、もっと物を削って、デカい劇場でやりたいっすね。
■菅谷和美(野鳩)■
『静かに殺したい』佐川さん役
チャーミング。稽古でアップをするときにはとの反射速度の追いついて無さに大変心配になるのだけど、実際に芝居をしているとそんな事を感じさせない自由さで動き回ってくれる。そして、その所作がいちいち可愛らしい。そして稽古中に飛び出すアイディアや、「仕掛けにくる」ところが頼もしい。
とおもいきや、飛び道具みたいな芝居では全然無くて、いつのまにか細かいところを感情や人間の生理として細かく組み立ててくれている。
菅谷さんなら、座り芝居をしてても退屈にならない演技をしてくれるんだろうなぁなどと、色々妄想は膨らみますね。
■細井ひさよ■
『静かに殺したい』宮崎役
まさに「細井ひさよ力」をガンガン発揮してもらった。昨年の5月くらいに+1って劇団に客演しているときに「なんだこの不穏な女優は!」と驚いたら、ウチに客演した大久保さんや望月さんともお知り合いとのことで知己を得て、満を持してのオファー。普通の言動をしているだけで大変奇妙で面白いので、斉藤コータ主演の超早い展開のコメディの中で、異物感として存在してもらおうと画策、結果、見事にそれ以上の効果をあげてくれた。
終盤の「あたしの胸に飛び込んで来いっ」と「おい…!」の台詞は、馬鹿っぽい台詞を・甘酸っぱい中で・面白い人が・言う、という、分解すると大変ややこしい構造なんだけど、細井さんがやるだけでそれは叶ってしまうのがすごい。あそこ、なんだか何週もまわって泣きそうになるんだよな。大変可愛いらしい芝居でした。
■望月雅行(劇団バルド/ハーリ・クィン)■
『静かに殺したい』大久保役
『異性人』マナベ役
毎度お世話になってます、望月さん。全く毛色の違う二作品に出演して頂き、劇作や演出の面でもかなりアドバイスをくれ、ホントに頭が上がらない兄貴。あと最近、おれは望月さんに色々注文をする中で演出の言語を覚えているんじゃないか?という感もあり。色々できるので色々お願いしてしまう。
『静かに~』でも序盤の騒ぐシーンから終盤の勘違いまで背骨を支えてもらったのだけど、特筆すべきは『異性人』のマナベだと思う。やはり望月さんはこういった複雑な心情や立場を表現していただくのこそ似合う役者だと確信を得た。以前にLBGT(性的マイノリティの色んなパターン)の一人芝居を上演されてたとのことで、そこらへんの知識やリテラシーがあるのと、その切なさとネタとしてのバカバカしさを両立できるところが本当に頼りになった。今思い返すと『異性人』でのマナベの出てくるところは大抵がハイライトになるんだけど、そのなかでも千秋楽とその1個前のステージでのアキラとのケンカ別れは絶品だった。
普段、あんまり自作の登場人物に拘らないんだけど、望月さんマナベに関してはまた見たい・会いたいと思ってしまう。
と、書いていたら以上に長くなってしまった。
劇作について・演出についてのアレコレはまた別のエントリで書きなぐりますね。
あと、公式のライナーノーツをアガリスクBlogかなんかに書こうと思う。もっとまとまったヤツをね。
これに関しては過去公演のも書きたいなー、と思っては、いる。

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