帝京大学へ。そしてヴィクセンズシアターへ。

アガリスクによく出てくれてる大学生、木村ゆう子が初めて演劇の脚本・演出をすると聞き、そしてそれがシチュエーションコメディをやると聞き、見に行った。帝京大学の学内公演。
帝京大学ヴィクセンズシアターのVol.80(代々続くとはいえすげー数だな)
「short 4 you」という短編4本立て企画のうち、彼女が作演したのは最初の一本『僕たちの嫌いな先輩』。
■演出の言葉■
こんなこと言うのは小っ恥ずかしいのですが先輩方に出会わなければ脚本なんて書けなかったと思います、この作品をさほど世話にもなってない大嫌いな先輩方に捧げます。
■あらすじ■
大学三年の大野はサークルの追いコンを成功させ想いを寄せる先輩・東条に告白しようと考えていた
しかしそこへ一年の間宮がサークルの借金王・早見から金を取立てるためだけにやってきた!
そんなことをされてはせっかくの追いコンが台無し、告白どころではなくなってしまう
高校の後輩・戸塚の協力のもと早見と間宮を会わせまいとする大野だが嘘に嘘を重ねて事態はなんだかとんでもないことに…
■感想■
木村ゆう子女史が初めて脚本・演出した『僕たちの嫌いな先輩』を観て来た。帝京大学ヴィクセンズシアターvol.80「short4you」より。よく見るファルス型シチュエーションコメディに実在の「部費不払い問題」を絡めた作品。タイトルに見られる冷めた視線を最後まで貫いたのに好感。
嘘つき誤魔化しシチュエーションコメディって大抵最後はぬるめな人情噺に落ち着くことがあるんだけど、そこはうまく避けつつ。7人という出演者にうまく役割や要素を振り分けていたのも好感。ただ言うほど主人公が追い込まれず活躍もしないのは残念。とりあえずアガリスク旗揚げよりは上手い。
と、以上をTwitterに書いたのだけど、追記。
突き放した、恥ずかしくならないトーンで進行するあたりとかは酔って無くていいなぁ、と思う反面、ぶっちぎりで「これ好き好き超やりたい!」ってのが見たかった気もする。あ、でも“ファルス型シチュエーションコメディ”ってのがそのやりたかったことなのか。ぶっちゃけ「先輩からの部費の取立て」って、その形式にしなくてもドラマ作れる題材だもんな。
その反面、↑みたいな「型」(嘘ついてごまかして勘違いが起こるファルス型シチュエーションコメディなんて全部型ですよ、何を流し込むかになっちゃうんですよ)に徹しているのに、台詞のチョイスや登場人物の行動原理や判断基準などの細部に、タイトルや「演出の言葉」にも見られる作者の思想が色濃く出ているのは面白いなぁと思った。
コメディとして畳み掛ける部分の演出は的確。ウケるポイントで他のことをせずに一気に攻めるところ、一番ウケたい時間帯にネタを集中させたのも良いと思う。
難点は序盤の嘘さとダルさ、そして誤魔化すときの嘘さ。この形式のコメディにありがちな(そして俺もよくやっちゃうんだけど)始まってからの説明パートのわざとらしさとつまらなさが結構キツい。そして中盤の「この人にこの話を聞かせたくない」となったときの誤魔化し方、「手刀で気絶させる」ってどうなんだ(笑)
いや、多分「どうせ型なんだからあえてやっちゃえ」「ムリクリさで笑ってもらえればラッキー」という開き直りなのはなんとなくわかるんだけど、その「わざと」であり「抜いた」ネタを成立させるには、他の部分の完成度が足りていなかったのでは。
言っちゃうと、出演者の演技が「台詞を読む」と「タイミング」でしかないレベルなので、全然切迫しないのと、怒ったり困ったりしたときのやりきって無さにゲンナリしてしまう。とりあえずそこはフルスイングしとけよ、と。
「シチュエーションコメディは一番難しい」とか「シェイクスピア俳優も苦戦する」とか聞くたびに「えー、そんなことねーよ」と思っていたし、アガリスクもこと演技力に関して他人にあーだこーだ言えない側なんだけど、それにしても「え、演技力…大事…」と考えさせられてしまった。
他の演目については、「大家はめぞん一刻を見習え!そして幼稚さ極まるガキ二人を殺せ!」「森見登美彦が好きなんだろーなー」「え、この人ホントにビートルズ好きなの?」とか思った。そして全体的にロリキャラがキツかった。
そして、公演形態はなぜ日曜1公演だったのだろう。せっかく学内でやるなら、平日から短編をバラにしてポコポコやればいいのに。学校の友達が来てくれるうちに見せておけばいいのにーと思う。ま、色々と制約があるんだろうけど。
それにしても、休みの日の帝京大学は何も無いな…学内のコンビニも学食も閉まっており、サークルに勤しむ学生も、何やってるんだかわからない妖しい人もいない。
トイレの綺麗さと文化は反比例する、って唱えてるやつがいたけど、かなり当てはまる。
こんな綺麗なところじゃあ小野さんが住めないじゃないか!って。

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