2012年を振り返る【今年の演劇鑑賞BEST5】

さて、今年観たものBEST5を映画・演劇で書こうと思ったら映画だけで結構な長さになってしまったので、別エントリで演劇版を書きますよ、と。
■演劇編■
第5位 38mmなぐりーず『だから、1周年なんだってばぁぁぁぁ!!!!汗』
はい、のっけから一番の(個人的)問題作。超迷ったなぁ。
そもそも自分とこのグループの関係で言うと、2011年末のお披露目ライブで、持ち歌が少ないからと設けられたコントの台本を書かせてもらった、という間柄。それはおかげさまでリライトしてMUにも提供出来たので良い機会を頂いたなぁという感じ。
で、問題は、「このグループをどう見るか」という話なんですよ。プロデューサーから聞いたコンセプトの「アイドル活動を通して彼女ら、そして小劇場演劇を演劇界隈の外に発信する」という趣旨はとても素晴らしい理念だと思う。尊敬する(まぁアイドルをやるのが純粋に手段として最も効果的なのかは少し疑問もあるけど)。
ただ、いかんせん小劇場の内側しか向いてないのではないか?という疑問とか、「小劇場で女優やってる」ってのが世間一般に対してオリジナリティとして響くのかなぁとか、世間でしのぎを削ってるアイドル達の“青春の全てかけてる感”に比べて活動の頻度少ないよなぁとか、他の芝居とかけ持ちだしなぁとか、勝手ながら色々思ってしまって「本気なの…?」と思う節が徐々に高まっていってた。
だけど、今度外部のアイドルイベントに出演が決まったという話や、プロデューサーが当初の思いを忘れずにやってたということを知り、モヤモヤを抱えたままだけど一周年のライブに行かせてもらったところ…
…予想以上に楽しくて。
それは、他のアイドルと同じ枠で評価してるのか、知り合いの女優が頑張ってるから好感を持ったのか、どっちなのかは未だに判別できないんだけど。でもステージ上の姿を見てると彼女らのことを悪し様に言うことは絶対できない気分になった。
「“アイドルをやる”という広義の演劇活動とみればいいのか?」「じゃあ何があればアイドルなんだ?」「手放しで小劇場の救世主みたいな扱いは出来ないよな」「彼女らの活動で直接世間に向かってアピールする効果は無くても、小劇場界隈のマスコットとかアイコンにはなるだろうしそれでいいのでは」「理屈では首肯できなくても生でその姿を見てると何か肯定させられてしまう、ってそれこそ演劇やライブの醍醐味だよな」などなど、頭の中でこの 38mmなぐりーず という集団を活動をどう捉えたらいいのかという問いがグルグルしてる状態。
というわけで、満足度・好みなどで本当に自分にとってベストだったのかという疑問は尽きないけど、考えさせられた時間・影響力という点を鑑みてエイヤッと5位。
今度、池袋かどこかでアイドルイベントに出るみたいです。そこでの世間の反応と当人達の反応が気になってしょうがない。
第4位 MCR『俺以上の無駄はない』
5位で長く書きすぎた…パッといきます。
面白かった!脚本演出主演の櫻井さんカッコよすぎ。見てすぐ思ったのが、「脚本上手い」「演出上手い」「演技上手い」とかじゃなく、「演劇うめー!」という分析できない何かの積み重ねの実感。
あとは「自分は演劇では面白い会話と面白い展開、要は面白い“お話”が見たいよ」という思いを強くした。ポストドラマとかあんま興味ないわ、やっぱ。って。
これも、正直言うと主人公の言ってる理屈がちょっとわかんなかったり、善の姉と悪の姉の配置で「?」「なにをどう象徴させてるんだ?」と疑問符はついたんだけど、前述の「演劇うめー!」で完全にノックアウトされたから最後は「そんなの関係ねぇ!」って気分で劇場を出た。
第3位 風琴工房『記憶、或いは辺境』
同じような“お話”の作品で、しかももっとカチッとした脚本の、ガッチガチに良く出来た演劇。
脚本だけじゃなく演出も演技もスタッフワークも全部がしっかりしすぎてて、終演後「面白かった…」としか言いようが無かった作品だった。
戦争や民族や歴史など大きなものに翻弄される人々のラブストーリー…って聞くと何万回聞いたかわかんないけど、良い話を普通にシッカリやるとここまで面白いのかよ演劇って!と、希望のようなとんでもない課題のようなものを見せられた印象。
ほら、やっぱり「面白い会話と面白い展開、要は面白い“お話”が見たいよ」なんだってば。
第2位 ロロ『LOVE02』
と、ここでいきなり“普通の良く出来た物語”とは毛色が違うのが入ってきちゃうんだけど…。
何故か自転車漕ぐし、漕いだら女の子の電球が光るし、奥の壁も光るし、恋して成仏できない幽霊がいるし、天国にラブレターを紙飛行機にして飛ばすし…ってあれ、書いてると“不思議な表現”ってより“こっ恥ずかしい胸キュン展開”になってきたぞ?
そう、まさに不思議な設定がどんどん恥ずかしいくらい真っ直ぐでストレートな恋の話になっていく芝居で。
基本的にこういうオシャレ空間演出と不思議な話って嫌いなんだけど、そんなの関係なく食らってしまった。
全部を通して「恋!」に結実する印象しかなくて、具体的にどういう話かは説明できないし覚えてもいないんだけど、「恋のこの“感じ”」「“感じ”だよ!」と。
何にも言ってないに等しい文章になっちゃったよ。
“好きな人の耳元で愛を叫ぶんだけど自分が幽霊だから全然届かなくて凹む福原冠”を見られたのは珍しすぎて感動した。本人の性格的にも他の芝居的にも超珍しくて、でもだからこそ超胸を打った。そんな人もどんな人もそうなっちゃうのが恋だよね、と。
第1位 ヨーロッパ企画『月とスイートスポット』
正直、今までに挙げた2,3,4位が僅差のトップグループで、だけど圧倒的1位がなかったなぁ今年は。と思っていたら年末のヨーロッパ企画が全部持っていった。
まずね、宣伝の方法に文句を言いたい(笑)前作『ロベルトの操縦』がそこまでじゃなくて、かつ金欠だったのもあり鑑賞を諦めかけてて、漠然とした好評を聞きつけて千秋楽に当日券予約で駆け込んだもの。もっと早くこういうのだと知ってれば早くに見てみんなを誘ったのに!「漂流」とか「狭間っていう空間が…」みたいな漠然とした情報しか宣伝には出てこないんだけど、みなさん、これ、バリバリの時間モノですよ!?と。
ヨーロッパ企画で時間モノといえば、言うまでも無く『サマータイムマシン・ブルース』なんだけど、今回はそれを自らアップデートした時間モノ最新作。
『サマー~』のときのようにシーンごとに時間軸が分かれているのではなく、時空の狭間が開いちゃって、現在・過去・未来・もっと過去のそれぞれの人々がカジュアルに行き来しちゃうし、未来のことも知っちゃう。ここがサマー~より確実に先を行っている。
そして、「この薬を打つと過去の幻覚が見える」といって舞台上に出てきた過去ゾーンが、他の人にも見えてしまい「おい、なんで俺にも(過去が)見えてんだよ」「これは誰の主観なんだよ」とツッコむという「世界の認識」をテーマにした漫才って(笑)なんだよそれ、と。「今見えてる世界が誰の主観か」でボケたりツッコんだりする劇団が他にどこにいようか。
終盤に文字通り横入りしてくるアレに対しては、自分も『お父さんを下さい』で扱っていたってのもあって、ちょっと複雑だったけど。
久しぶりにヨーロッパ企画が役名のある芝居、物語のある芝居をしていて嬉しかったし、なにより、サマータイムマシン・ブルースでヨーロッパ企画を知った自分にとっては、このタイミングで時間モノの最新版を見られてとても嬉しかった。そして当たり前だけど超笑ったよ。やっぱ面白いコメディ劇団が一番面白いや。
【総評】
なんだろう…眠すぎてもはやなにも思い浮かばない…。
でもこうして見ると、ストレートに、照れずに作った作品が面白いかったんだな、という傾向は見えるし、そんな感想がナイゲンをつくるときのセンスにも繋がっていたような気がする。
2013年も面白い芝居を沢山見たいですね。そして勿論、それよりもっと面白いのを作りたいのだけど。

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