テトリミノ=ファクトリーとは。今までのと、今回の。

執筆中なのに深夜にブログを書いている。
そう、それは良くないときの傾向。進んでいないときの傾向。
あ、5/2(木)に新宿コントレックスVol.9をやるのですが、アガリスクはテトリミノ=ファクトリーという過去作をリメイクして挑むのです。
そして台本の作り直しと、今回は映像制作も控えているわけです。なのに台本の段階で進まねー進まねー。
とりあえず、自分の中で整理するために、テトリミノ=ファクトリーとは何なのかを書いてみようと思う。
テトリミノ=ファクトリー。それは、アガリスクが2008年のシアターグリーン学生芸術祭Vol.2で短編枠に参加したときの作品名。
3団体のオムニバス公演で「共通のアイテムとして黒い立方体を4つ使おう」という縛りと「映像使いたければ使えるよ」という条件での作品づくりだったので、「立方体4つの組み合わせといえばテトリス」「じゃあテトリスのネクストブロックを作るヤツら」という思考で立ち上げた30分の作品だったのだ。
そして、アガリスクにとっては初の東京の小劇場シーンへの進出となる作品。どうなるのやら…と期待と不安に胸を膨らませていたところ、蓋を開けたら超ウケた。
いや、今考えると最近の本公演での一般的なウケと同じくらいなのかもしれないけど、今より笑いを取りに行ってわりに今より全然ウケていなかった自分達としては、びっくりするぐらいの反応に感じたのだった(その年の学生芸術祭の他劇団の芝居も結構見たけど、こと笑いで言ったら、ウチか劇団THEメンチカツ成が一番だったように思う。どちらも短編組だったけど)。
そして、2010年3月に調子に乗って長編化して謎の大コケをした。それ以降は作風の変化というか、割と現実社会を舞台にした作品が増えていったのと、最初のテトリミノをやったメンバーの2人が出演しなくなったのとで、そのままに。
ただ、何故か知らないけど、「どこが上手い」「どこが画期的」とかは無いのに好きな作品なので、いつか劇団の所属メンバーが4人になったらアガリスクコントの持ちネタとしてやろうという意思を持ち続けていた。
で、今年の1月に沈ゆうこが入って、ようやく揃ったぞ、と。
その後、1月にも3月にも新宿コントレックスを行っているはずだけど今回になったのは、まぁ置いておくとして。
そういう経緯の作品なのである。
さて。で、今回のバージョン。当然イチから作り直すのだけど、一体全体どういう指針で作り直すのか。
ログライン(脚本用語で、一行で言うとどんな話?ってやつ)と言って良いのか?このコントを一言で言うと「テトリスのネクストブロックはこいつらが(私情たっぷりに)決めていた!」になるのかな、と。
あくまで「テトリミノをつくる話」であること。
「ゲームをプレイしているプレイヤーと、次に落とすテトリミノを決めているこいつらの関係、そこに終始する」ということ。
「リーダーを中心とした作業員4人とプレイヤーが、テトリスを通じて会話する」という背骨を決めて、そこを盛り上げるため、またはそこに至る道を作るために登場人物一人一人の属性から来るネタやイベントが存在するべき。
と、最後でいきなり訳わからなくなったかもしれないけど、今日ばっかりはいいのだ。自分の整理のための記事。

RHYMESTERダーティーサイエンス行った

やばい、もう10日近く経ってるじゃないか。
先日、RHYMESTER『ダーティーサイエンス』リリースツアーのパシフィコ横浜公演に行ってきた。予約して発券し忘れて当日券に並んでたら、チケットを余らせた方に定価で譲ってもらい、そしたらなんと最前列でした。
ありがとう、トオルとヒロシ。ってビーバップハイスクールの二人じゃねぇか。
トオルは日本語ヒップホップシーンに超詳しい、成田で農業やってる同世代でした。そんなん、SRサイタマノラッパー観たら死ぬほど喰らうんだろうな。
ライブは、勿論ダーティーサイエンスを中心にしつつ、POP LIFEやマニフェスト曲も含む、復活後ライムスターの全部乗せみたいな公演でした。超良かった。
前回のPOP LIFE時もやった、宇多丸とDのアカペラでの掛け合いからの『Walk This Way』が見られたのがすごく嬉しかった。
細っそいサスの下で二人がポエトリーリーディングみたいに詩を詠んで掛け合って行き、それが段々韻を踏んでいって、曲が始まるやつ。
演劇活動をして何年にもなるし、毎年少しは数もみてるけど、こんなにカッコいいサス・ピンスポづかいを観たことがないよ。というか細いバキッとしたサスって照れてて苦手だったんだけど、好きになっちまうよ。
あと、ダンスや振り付けにならない、歌っている中の自然な動き(一番かっこいいやつ)について新たな発見。
歌詞を反映させた動きや立ち位置、例えば「崖っぷち」でステージの淵に立ったりする、アドリブの仕草に、演技や振り付けの最も原始的というか、根源的な何かをみた気がしたよ。
ちゃんと説明はできないのだけど。

Vol.8お礼と次(×3)へ

遅くなって(一週間も経っちゃって)すみません、新宿コントレックスVol.8は無事終了しました。
ご来場頂いた皆様、ありがとうございました。『差別』と『お父さんをください』の二本立てでした。コントってホント難しいですね。あ、いや、こんな書き方したからって別にスベった訳では無いのですが。
これに関しては雑な定点撮影ですが映像を残したので編集してYouTubeにあげますね。
さて、次です。次と言っても次のどれなのか。そう、コントレックスでは一挙に色んな告知の第一報をしましたので。
●その1…ナイゲン再演
正確には再々演なのですが。昨年上演してご好評頂いた『ナイゲン』をもう一度上演します。
これは初演から再演のような大幅改稿ではなく、細部をブラッシュアップして、新しい演出で、可能なら同じメンバーで上演し、完全版を目指しちまおうという公演です。
劇場も同じシアター・ミラクルです。ぶっちゃけ新宿のあの劇場や下北沢のあの劇場など他の劇場からお声がかかってたりもしたのですが(まあなんと珍しいことでしょう、数年前O子小劇場に断られたアガリスクともあろうものが笑)、劇場機構や天井の高さ、なんとなくの豪華イメージよりも、ミラクルの提示してくれたロングラン支援の条件を取ることにしました。
世知辛い話をすると、いま現在可能な予算規模で最大限多くの期間上演し、最大限多くの方に見てもらえる機会をつくる道を選びました。
あ、劇場の使い方とか演出で、昨年見た方にも違う景色をお見せできる勝算もあってから契約したので、そこはご期待ください。
昨年見てくれた方、聞いたこともないぜって方、すべての方に向けてお送りします。
http://www.agarisk.com/news/13030702.php
●その2…コーヒーカップオーケストラと合同で
これまでも新宿コントレックスで、そして互いの公演への客演で、交流のある、同世代・二代名前長い・コメディ劇団のコーヒーカップオーケストラと合同のユニット「アガリスクエンターテイメントコーヒーカップオーケストラ」(←長い…)を結成し、公演を行うことになりました。
詳細は今まさに詰めているところなのですが、冨坂・宮本(コーヒーカップオーケストラ主宰)間での脚本と演出の分担でもなく、コントレックスのような作品持ち寄りでも無い、合同でなければ成立しない公演形態を考えています。
http://www.agarisk.com/news/13030701.php
●その3…次のコントレックスでやること
5/2(木)にやる新宿コントレックスVol.9にて、アガリスクが誇る自分達的代表作(外からは全然思われてないことでしょう)の一つ『テトリミノ=ファクトリー』をリライトして再演します。
というかVol.8に間に合わなかったから9に延期しただけなのですが。
かつてシアターグリーン学生芸術祭Vol.2に短編枠で出た時に作った作品で、なんの賞も取れなかったけど、おそらくその年の全団体の中で一番笑いをとったんじゃないかというアガリスク初の成功体験の思い出の作品です。ま、そのあと長編化して痛い目を見てるんですが。
所属俳優がまた四人揃ったらやろうと決めていた短編です。これを台本を書き直して、映像も作り直して、というか上演のシステムから考え直して、新宿コントレックスでも出来る仕様にして再構築します。
『ナイゲン』のようなウェルメイド会話劇でもなければ、それまでのような意地悪シチュエーションコメディでもありません。でもこれは確実にアガリスクエンターテイメントだぞ、という作品です。
思い出の作品だからこそ、新たなKUFUやJIKKENによって最近の代表作『エクストリーム・シチュエーションコメディ』に並ぶ作品にしなければ、ただの懐古主義になっちまうな、と気合をいれてます。
そう、この作品は、一時期憧れていたあの売れっ子SFコメディ劇団に嫉妬させることを目標にしていた短編だったのでした。
新しいテトリミノ=ファクトリーにご期待ください。
お披露目の場は5/2(木)の新宿コントレックスVol.9です。

新宿コントレックスVol.18公演情報


お知らせのその1~3が、見事に上演順と逆の並びになっちまったけどまぁいいや。
皆様、よろしくお願いします。

新宿コントレックスVol.8(本日!)とアガリスク

冨坂です。
さて、今日は新宿コントレックスVol.8の当日。
今は新宿シアター、・ミラクルに向かっています。
イベント自体はおなじみの、複数の演劇団体がコントで勝負するアレでございます。
さて、今回のアガリスクは『差別』と『お父さんを下さい』の二本立てです。
当初は四人揃ったんで『テトリミノ=ファクトリー』のリブートを考えていたんですが、もろもろ(今回から俺が映像制作を試みたので主にそれ)が間に合わず、泣く泣く5月に延期する事に。そして『差別』と『お父さんを下さい』に。
だから有り合わせのもの、というだけではなく、かねてより『お父さんを下さい』は演劇動画コンテストで密かなファンを生んでいたり、自分達も「いつかまたやりたい」と思っていたものだったので、巡り合わせと言いましょうか。
合わせる『差別』は、尺こそ短いし派手な笑いがあるわけではありませんが、短い尺で差別問題のある面を斜めから見た、多分「巧い切り口」の戯曲です。こちらもまた上演していつか映像に収めようと思っていました。
ということで奇しくもマイノリティ問題に切り込んだ風の再演二本だてとなりました今回です。
といっても、皆さん、コントですから。
言い訳とかじゃなく、予防線とかじゃなく、ハードルという意味で、これらはコントです。
そこらへんが巧みなだけじゃ終われません。笑って頂かなきゃ終われません。
どうぞ劇場に、「面白いもんみるか」ってな具合でフラフラっと、ヘラヘラっとお越しくださいませ。
あ、あと他の団体も魅力的なので、イベントとして楽しいものになるよう頑張ります。今回は当日券も出る模様!ぜひお越しくださいませ!
新宿コントレックスVol.8
2013/3/6(水)19:30
@新宿シアター・ミラクル
【出演】
アガリスクエンターテイメント
後藤慧(コーヒーカップオーケストラ)
コントユニットT@KUMA
実弾生活
PLAT-formance
MC:斉藤コータ(コメディユニット磯川家)
予約券:1500円 当日券:1500円

新宿コントレックスVol.18公演情報


最後に、『お父さんを下さい』の動画(フル)を貼っちゃいます。今日やるのに。

これをもっといい精度でやります(笑)

自分ノート

これからコントレックスをわりと頻繁にやりつつ、企画っぽい公演と、2週間ロングランの公演が控えており、いろいろなことを同時並行的に進めていかなくてはいけないので、執筆や演出ノートの見直しを図っている。
尊敬するヨーロッパ企画主宰の上田誠氏は、現在手がけてる作品の数だけスケッチブックを持ち歩き、使い分けているらしいので、それを真似てみようと思う。
今までは「アイデアを書くノート」は作品を問わず一冊に統合し、A5サイズの無地のリングノートを使っていた。そして予定や情報はメモ帳に書いていた。
ただ「予定や進行状態」と「アイデアや下書き」で分けるより、それらは混同していても作品で分ける方が頭ががきりかえられる気がしてきたのだ。
さて、ノートを選ぶ。
劇場でダメ出しをメモったり、稽古場で立ったまま書いたりもするので、机が無くても書けるよう、表紙が硬くて折り返せるリングノートであることが必須。
サイズは迷う。劇場や稽古場での使用のみなら小さい方が良いが、ノートとして下書きにも使うとなると、ある程度のサイズは欲しい。ナイゲン時のダメ出し用はB6サイズのLGのキャンペーン品を使ったが、机の上でいろいろ考えて書くには少し小さい。そう考えるとやはりA5か。
今まではアイデアや落書き用にしか使わなかったので無地の紙だったが、作品ごとに分けて予定や進行状況などの情報っぽいものも書くなら罫線は欲しい。そこで迷ったあげく出した結論が「ドット方眼」。5mm感覚でドットが打ってあるもので、罫線替わりにも使えるし、かと言って線じゃないのでシカトして自由帳としても使える優れもの。
つまりは、「A5」の「ドット方眼」の「リングノート」を数種類揃えれば良いのだ。
ついでに言うとカラーバリエーションが沢山あって一目で分かるようになっていると理想。
ただこいつは海外の数少ないノートか無印良品しか出して無い。そして結構高い。一冊400円以上する。
ついでにカラーバリエーションは無い。
さらに言えば、一冊が分厚いので、何冊も持ち歩くと結構な荷物になる。
値段に関しては、一発逆転を狙って100円均一に行った。そしたら、リングノートでドット方眼でカラーバリエーションが三種類あったのだが、いかんせんサイズがB5だった…。ノートとしての利用には良いのだが、劇場や稽古場で持ち歩くにはデカすぎる。そして表紙がペラペラすぎる。
とりあえず100円なので買ってみた。
そして、無印良品でもA5のドット方眼リングノートも買ってみた。420円だけど。分厚いけど。
さて、とりあえず今日一日で少し使ってみて、どれに統一するか決めなければ…。
A5サイズでドット方眼でリングノートで、80枚90枚じゃなく30枚40枚の薄いやつをカラーバリエーション5種類出してくんないかな、誰か。
image-20130211180144.png
左から、100円のB5ドット方眼リングノート、現行のA5無地のリングノート、そして無印良品のA5ドット方眼のリングノート

新しい台本を書き始めた。
3/6(水)の新宿コントレックスVol.8にかけるアガリスクの新作コントの台本。
沈ゆうこが入ってメンバーが四人になったわけで。こないだはエクストリームを二組に分かれてやったので、四人と俺で一つの作品を作るのは初めてだったりするのだ。
正確に言うとまだ「これでいくのか、はたまた…?」と悩みながらチョコチョコ走り書きし始めた程度なのだけど。
いつでもどこでも出来る、という上演形態としてのスマートさ。
そして、展開とか伏線のスキルを誇示する(って言っちゃうとアレだけどさ)構成としてのスマートさ。
それらを兼ね備えてて、ウケる作品を作ったほうがいいのかもしれない(あ、いや、そんな都合よく作れるかどうかは別として)。
だけど、なんかそういった条件面から考えても、乗らないのだ。気分が。
乗らないから良い感じの案が思いつかないのか、思いつかないから乗らないのか。それはわからないんだけど。
そして、物は使うし、いわゆる“巧く”見えないし、エクストリームとかに比べると団体の思想なども表れてはいないんだけど、それでも個人的感情としてやりたい作品がある。メンバーが4人揃ったらやりたい作品が。
物理的にもプロデュース的にもリソース的にも意義やポリシーとしてもそんなに良い手じゃないんだけど、それでもなんだかやりたくなってしまう作品。
それを冨坂だけじゃなくて他のメンバーも思ってしまう作品。
あ、すいません。引っ張るだけ引っ張ってここじゃあまだ発表しないけど、アガリスクで4人と言ったら、っていう、思い出の作品のリブートです。
果たしてコントレックスにかけられるネタなのか、今のメンバーでやるとしたらどう書き直すべきか、そういったことを試行錯誤してます。
…という、なんだかモヤッとする途中経過でした。
どうすっかなー、できっかなー。

1月を一気に振り返る

さて、しばらく放置してしまい申し訳ありません、冨坂です。
新年のあれこれを書いてからコントレックスのを書こうと思って時間があき、コントレックスのを書いてから引越しの件を書こうと思って、だいぶあいてしまいました…。
なので1月を一気に振り返ります。箇条書き!
●新年
特に出かけず過ぎた!以上!
●新宿コントレックスVol.7
皆様、ご来場ありがとうございました。初の3ステっていうのもあり、動員記録を更新しまして、大いに盛り上がりました。今後ともどうぞ宜しくお願いします。
久しぶりのコントレックスは、2日間連続でやって仲が良くなる余地があったからか、やってても大変楽しかった。このイベントはずっと続けていかなきゃな、と実感。
PLAT-formanceが人気だったのでやはり対抗意識を燃やしているよ、内心。
●エクストリーム・シチュエーションコメディ
エクストリームは、男女共に難しさを実感。共に、もっとウケることが出来たはずだ、と。ミスによるものだったり何かの不足によるものだったり原因はそれぞれで別なんだけど、まだまだ研究の余地がありますな。女性版は2/20に外部イベントに出てまたやるので、詳しくはそれの作戦を立てるときに書きます。
●沈引っ越し
沈ゆうこがアガリスクハウスに入居。新しい冷蔵庫や液晶テレビや余ったパソコンなどがハウスに運び込まれ、デジタル化。
これは1月じゃないけど、2/4付けで1年半ぶりにハウスでTVが映る。など。
新しいPCを使うと映像の編集等も楽々出来るのではないかと言う期待。
●イタリアンナイト
塩原さんが深夜に「塩×バラ」の塩豚と、ピザ生地をもって訪問、沈の持ち込んだオーブンレンジでピザを焼きに来る。それに付き合っていたらピザ作りが俄然楽しくなってきて、一晩のうちに何枚も作って焼いた。メキメキと上達するピザ(を家庭の道具で無理矢理作る)スキル。

ちなみに深夜0時半~3時半の出来事。
●劇場の契約。
夏の初めと、夏の終わりの劇場の契約を進行中。そろそろドドンと発表します。しばしお待ちを。
■これからの予定■
●2/20にオムニバスイベント出演
以前DRESS AKIBA HALLという秋葉原のライブハウスでやってたオムニバスシアターが、隣の岩本町のEggmanTokyoEastというライブハウスに移転。
久しぶりに出演してきます。演目は『エクストリーム・シチュエーションコメディ(ペア)鹿島×沈組』
女性版を改良して臨みます。
●3/6にコントレックスVol.8
プロデュースを新しくメンバーになった沈に任せつつ、アガリスクの作品は新作を作ります。
役者が4人になったので、全員で出るコント20分一本で勝負。
いつでもどこでも出来るシンプルな形態で、アガリスク的に王道な、代表作。
になるといいんですが。そういったものを狙って書きます。
コントレックスの情報も近いうち発表されると思うので乞うご期待!
新宿コントレックス公式サイト

2012年を振り返る【今年の演劇的活動】

今度は作ったものを振り返ります。
【1月】
◎新宿コントレックスVol.3
今までで唯一、アガリスクが出演しなかったコントレックス。出演しなきゃダメだな、と痛感。
【2月】
『異性人/静かに殺したい』執筆
台本書いてた。のみ。
【3月】
◎『異性人/静かに殺したい』
『静かに殺したい』では斉藤コータ×後藤慧のラストのお任せのところが超絶面白かったけど、それって俺が半ば投げたみたいなモンなので、ウケてホッとしつつ悔しい面も。
『異性人』では、ワンシチュエーションじゃないし後半笑いも狙わないし…っていう異色作になった。ご好評頂いたりもするけど、今にして思うと、あのテーマを物語に押し込めた時点で終わっちゃってて、それってコメディ劇団として完成じゃないのではないか、という気もしてくる。全編を止まらず突っ走るコメディ(一幕モノじゃないにしろ)に置き換えて作ったらまだまだイケる気がする。いつか長編でやりマース。
◎『2+1』
上記の異性人/静かに~に付随してやったAC(アガリスクコント)単独ライブ。千秋楽のあとに1ステだけやったんだけど、お客さんも公演本編見ちゃってるから足を運びづらいし、我々は超大変だし、色々超大変だった。
ネタだけ決まってて進行はアドリブに近いラフなコントだった。ウケこそしたものの、やっぱラフなのは大変。ちゃんと作りこまなきゃね。
【4月】
◎新宿コントレックスVol.4『2+1』『擬音精舎』
『2+1』は前述の通り。コントとして固めようとしたらイマイチ面白くなかったからそのままやったらやっぱりフワフワした。そもそもこれは「鹿島加入」(役者2人のところに1人追加される)を意味を持つコントでしかないので、もうやんないと思う。
『擬音精舎』は、悪ふざけがすぎた感じ。というか『2+1』というラフなネタと一緒に同じように台詞で固めないのをやったのがマズかった。
【5月】
◎翠組『放課後サマージャム』執筆
初の長編書き下ろし脚本提供。超大変だった…
◎新宿コントレックスVol.5『エクストリーム・シチュエーションコメディ(ペア)淺越×塩原組』
またしてもやったエクストリームだけど、「丁寧にやろう」をモットーに稽古して、世界からハミ出すネタも少し整理して臨んだ。ネタの性質上序盤は重いんだけど、最後の方は完全にもっていかせてもらった。やっぱこれだよね、このネタだよね、と再確認。ただ「何度もやりすぎ」って意見もあるんだけど。
これは共演のシガラキ主宰細居さんが素晴らしい撮影編集をしてくれて映像化されてます。これ
【6月】
◎翠組『放課後サマージャム』観た
前述の、初の長編書き下ろし脚本提供が上演されてる様を見た。演出の保木本さんにかなり助けられてるなぁというのと、「これでどうだ!」って自信持って言えるまで仕上げられなかったのを反省するなど。
◎『ナイゲン』写真撮影の旅
ナイゲンのチラシ裏面の出演者写真を撮ってまわってた。急遽決まって、出演者が集まれなかったので制服と道具を持って会いに行ってゲリラ撮影っていう。そして撮ったのがこのサイトにも使ったこの写真
【7月】
◎新宿コントレックスVol.6『お父さんをください』
「父親が彼氏を作って娘に合わせる」という同性愛テーマからの近親愛から…とどんどん話が大きくなっていくコント。稽古場で心配してた序盤の会話のネタが思った以上にウケて、終盤の自信持ってた超展開が「?」ついたまま過ぎていって、そしてラストで大きいミスがあったりと、予想外のことが頻発した。全体的に均せば結構ウケていたし、「これ好き」と言ってくれる方もいるし、終盤をリベンジしたいので、またやります。3人組コントの決定版はこれにする。一応下手からの映像だけあります。
【8月】
◎『ナイゲン』台本執筆
ナイゲンの台本書きが本格化すると同時にメインのデスクトップPCが壊れる。自分史上最長の台本をネットブックで書く。
【9月】
◎『ナイゲン』
思い切って真っ直ぐに「お話だよー」「人物をストレートに演じるよー」というのをやってみたところ、大変ご好評いただき、自分的にもしっくり来る。
最後の方とか、いわゆる“いい台詞”みたいなこと言わせても全然恥ずかしくならなかった。のは、ちゃんと確信があって、ちゃんと身のある実のあることを語ってたからでしょうか。国府台とか自治とかについての、一番確信の持てる内容。
良い意味で自分が書いてる気がしなかったというか。だけど自分の考えてることの芯を捉えてるので、「誰かが、俺の一番思ってることを表現してくれた!」みたいな目線で見えたので、恥ずかしくないし気に入ってるのかも。
やっぱり芝居書くならこのくらい確信のあることを、血肉になってることを扱わなきゃ駄目だよなぁと思う反面、一人の人間の中にそんなに書きたいものってあるの?という不安も。
まぁ、脚本や演劇公演という具体的な括りだと、もちろん反省点が山ほどあるんだけど。
得た教訓は、「場所や人物を具体的にストレートに設定する方が似合う」「物語や芝居としてお客さんを掴んどけば、何もない状態で大きいネタを作動させるよりウケる」「脚本執筆は、準備の段階では極めてパーソナルに、確信のあることを取り上げる。書くときは最適化とサービス精神に割り切る」あたり。もちろん、現時点で思うことだし、現時点のアガリスクでのオリジナルの戯曲書くときは、って条件つきだけど。
さて、ナイゲンはまだやりたい。
【10月】
◎特になし
【11月】
◎MU Bootleg vol.3『週末たち』用の『ジャンクション』執筆
以前38mmなぐりーずに提供したコントを設定を変えて書き直し、MUの短編集に提供。
【12月】
◎MU Bootleg vol.3『週末たち』の中の『ジャンクション』観る
メインの3人を男女反転、アイドルグループからアカペラグループに変更。
男女反転してみたところ、演出のアユムさんのディレクションも相まって、色恋の香りがしてくるという新発見。
「男女反転、こいつぁ面白い」と思った。
◎新宿コントレックスVol.7用稽古
エクストリーム・シチュエーションコメディの女版を作っていました。
【総括】
なんやかんや言ってナイゲンが大きかった。今まで屁理屈感・ヒネてる感を押し出していたところ、ナイゲンで全然違う路線で(いや、共通してもいるんだけど)いい感じのものを作れてしまって、結構演劇感が変わった。どの変が変わったかって、いやここには書かないけど。
ぶっちゃけて言うと、他所に脚本提供するときより自分のところでやる方が圧倒的に上手くいっている、作品としてハマっている傾向にあるのです。例えば自分の体験を下敷きにしていたり、例えばアガリスクメンバーオンリー出演のコントであったり、そういったパーソナルなものは上手くいった何かを、外部に提供するときに発揮できていない傾向があるので、そこんとこを何とかしなきゃ、と思うしだいです、はい。

2012年を振り返る【今年の演劇鑑賞BEST5】

さて、今年観たものBEST5を映画・演劇で書こうと思ったら映画だけで結構な長さになってしまったので、別エントリで演劇版を書きますよ、と。
■演劇編■
第5位 38mmなぐりーず『だから、1周年なんだってばぁぁぁぁ!!!!汗』
はい、のっけから一番の(個人的)問題作。超迷ったなぁ。
そもそも自分とこのグループの関係で言うと、2011年末のお披露目ライブで、持ち歌が少ないからと設けられたコントの台本を書かせてもらった、という間柄。それはおかげさまでリライトしてMUにも提供出来たので良い機会を頂いたなぁという感じ。
で、問題は、「このグループをどう見るか」という話なんですよ。プロデューサーから聞いたコンセプトの「アイドル活動を通して彼女ら、そして小劇場演劇を演劇界隈の外に発信する」という趣旨はとても素晴らしい理念だと思う。尊敬する(まぁアイドルをやるのが純粋に手段として最も効果的なのかは少し疑問もあるけど)。
ただ、いかんせん小劇場の内側しか向いてないのではないか?という疑問とか、「小劇場で女優やってる」ってのが世間一般に対してオリジナリティとして響くのかなぁとか、世間でしのぎを削ってるアイドル達の“青春の全てかけてる感”に比べて活動の頻度少ないよなぁとか、他の芝居とかけ持ちだしなぁとか、勝手ながら色々思ってしまって「本気なの…?」と思う節が徐々に高まっていってた。
だけど、今度外部のアイドルイベントに出演が決まったという話や、プロデューサーが当初の思いを忘れずにやってたということを知り、モヤモヤを抱えたままだけど一周年のライブに行かせてもらったところ…
…予想以上に楽しくて。
それは、他のアイドルと同じ枠で評価してるのか、知り合いの女優が頑張ってるから好感を持ったのか、どっちなのかは未だに判別できないんだけど。でもステージ上の姿を見てると彼女らのことを悪し様に言うことは絶対できない気分になった。
「“アイドルをやる”という広義の演劇活動とみればいいのか?」「じゃあ何があればアイドルなんだ?」「手放しで小劇場の救世主みたいな扱いは出来ないよな」「彼女らの活動で直接世間に向かってアピールする効果は無くても、小劇場界隈のマスコットとかアイコンにはなるだろうしそれでいいのでは」「理屈では首肯できなくても生でその姿を見てると何か肯定させられてしまう、ってそれこそ演劇やライブの醍醐味だよな」などなど、頭の中でこの 38mmなぐりーず という集団を活動をどう捉えたらいいのかという問いがグルグルしてる状態。
というわけで、満足度・好みなどで本当に自分にとってベストだったのかという疑問は尽きないけど、考えさせられた時間・影響力という点を鑑みてエイヤッと5位。
今度、池袋かどこかでアイドルイベントに出るみたいです。そこでの世間の反応と当人達の反応が気になってしょうがない。
第4位 MCR『俺以上の無駄はない』
5位で長く書きすぎた…パッといきます。
面白かった!脚本演出主演の櫻井さんカッコよすぎ。見てすぐ思ったのが、「脚本上手い」「演出上手い」「演技上手い」とかじゃなく、「演劇うめー!」という分析できない何かの積み重ねの実感。
あとは「自分は演劇では面白い会話と面白い展開、要は面白い“お話”が見たいよ」という思いを強くした。ポストドラマとかあんま興味ないわ、やっぱ。って。
これも、正直言うと主人公の言ってる理屈がちょっとわかんなかったり、善の姉と悪の姉の配置で「?」「なにをどう象徴させてるんだ?」と疑問符はついたんだけど、前述の「演劇うめー!」で完全にノックアウトされたから最後は「そんなの関係ねぇ!」って気分で劇場を出た。
第3位 風琴工房『記憶、或いは辺境』
同じような“お話”の作品で、しかももっとカチッとした脚本の、ガッチガチに良く出来た演劇。
脚本だけじゃなく演出も演技もスタッフワークも全部がしっかりしすぎてて、終演後「面白かった…」としか言いようが無かった作品だった。
戦争や民族や歴史など大きなものに翻弄される人々のラブストーリー…って聞くと何万回聞いたかわかんないけど、良い話を普通にシッカリやるとここまで面白いのかよ演劇って!と、希望のようなとんでもない課題のようなものを見せられた印象。
ほら、やっぱり「面白い会話と面白い展開、要は面白い“お話”が見たいよ」なんだってば。
第2位 ロロ『LOVE02』
と、ここでいきなり“普通の良く出来た物語”とは毛色が違うのが入ってきちゃうんだけど…。
何故か自転車漕ぐし、漕いだら女の子の電球が光るし、奥の壁も光るし、恋して成仏できない幽霊がいるし、天国にラブレターを紙飛行機にして飛ばすし…ってあれ、書いてると“不思議な表現”ってより“こっ恥ずかしい胸キュン展開”になってきたぞ?
そう、まさに不思議な設定がどんどん恥ずかしいくらい真っ直ぐでストレートな恋の話になっていく芝居で。
基本的にこういうオシャレ空間演出と不思議な話って嫌いなんだけど、そんなの関係なく食らってしまった。
全部を通して「恋!」に結実する印象しかなくて、具体的にどういう話かは説明できないし覚えてもいないんだけど、「恋のこの“感じ”」「“感じ”だよ!」と。
何にも言ってないに等しい文章になっちゃったよ。
“好きな人の耳元で愛を叫ぶんだけど自分が幽霊だから全然届かなくて凹む福原冠”を見られたのは珍しすぎて感動した。本人の性格的にも他の芝居的にも超珍しくて、でもだからこそ超胸を打った。そんな人もどんな人もそうなっちゃうのが恋だよね、と。
第1位 ヨーロッパ企画『月とスイートスポット』
正直、今までに挙げた2,3,4位が僅差のトップグループで、だけど圧倒的1位がなかったなぁ今年は。と思っていたら年末のヨーロッパ企画が全部持っていった。
まずね、宣伝の方法に文句を言いたい(笑)前作『ロベルトの操縦』がそこまでじゃなくて、かつ金欠だったのもあり鑑賞を諦めかけてて、漠然とした好評を聞きつけて千秋楽に当日券予約で駆け込んだもの。もっと早くこういうのだと知ってれば早くに見てみんなを誘ったのに!「漂流」とか「狭間っていう空間が…」みたいな漠然とした情報しか宣伝には出てこないんだけど、みなさん、これ、バリバリの時間モノですよ!?と。
ヨーロッパ企画で時間モノといえば、言うまでも無く『サマータイムマシン・ブルース』なんだけど、今回はそれを自らアップデートした時間モノ最新作。
『サマー~』のときのようにシーンごとに時間軸が分かれているのではなく、時空の狭間が開いちゃって、現在・過去・未来・もっと過去のそれぞれの人々がカジュアルに行き来しちゃうし、未来のことも知っちゃう。ここがサマー~より確実に先を行っている。
そして、「この薬を打つと過去の幻覚が見える」といって舞台上に出てきた過去ゾーンが、他の人にも見えてしまい「おい、なんで俺にも(過去が)見えてんだよ」「これは誰の主観なんだよ」とツッコむという「世界の認識」をテーマにした漫才って(笑)なんだよそれ、と。「今見えてる世界が誰の主観か」でボケたりツッコんだりする劇団が他にどこにいようか。
終盤に文字通り横入りしてくるアレに対しては、自分も『お父さんを下さい』で扱っていたってのもあって、ちょっと複雑だったけど。
久しぶりにヨーロッパ企画が役名のある芝居、物語のある芝居をしていて嬉しかったし、なにより、サマータイムマシン・ブルースでヨーロッパ企画を知った自分にとっては、このタイミングで時間モノの最新版を見られてとても嬉しかった。そして当たり前だけど超笑ったよ。やっぱ面白いコメディ劇団が一番面白いや。
【総評】
なんだろう…眠すぎてもはやなにも思い浮かばない…。
でもこうして見ると、ストレートに、照れずに作った作品が面白いかったんだな、という傾向は見えるし、そんな感想がナイゲンをつくるときのセンスにも繋がっていたような気がする。
2013年も面白い芝居を沢山見たいですね。そして勿論、それよりもっと面白いのを作りたいのだけど。

2012年を振り返る【今年の映画鑑賞BEST5】

さて、年の瀬ですね。
昨年は年を越すまでにこういった振り返り系の記事が書き終わらず、新年の2日くらいまで書いていたような気がします。今年も12/31にはなってしまいましたが、まだ夕方なので書ききってやろうと思います。
ということでまずは演劇や映画などの「観たもの・鑑賞系」の振り返り!
今年の個人的BEST5を選出して振り返ってみようと思います。
あ、独自の視点とか無いよ!ふっつーだよ!
■映画編■
第5位『SRサイタマノラッパー~ロードサイドの逃亡者~』
今年唯一2回見た作品。
最初は公開初日に行ったんだけど、会って2回目くらいの人と一緒に行ってその人の反応が芳しくなかったり、単純に自分がこの映画の肝である「歌の使い方」をスルーしてしまい、「なんだかものすごいエネルギーだけどどう受け止めていいのやら…」と租借しきれず、楽しめずにいた。で、思って2度目に一人で行ったら例の超ロングの長回しからのお馴染みの『俺らSHO-GUNG』が聞こえる流れでやられた。
あと同居人・淺越の買ってきたサントラを聞いたら『Ending』の次に収録されてる「Keep on Moving」に泣かされた。プロとかアマとか東京とか地方とか関係なく、好きなものを好きで居続けること、やりたい表現をやる続けることをロジック抜きで全肯定していて、なんだかんだで勇気が出る名曲。
第4位『DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on 少女たちは傷つきながら夢を見る』
3位との間で超悩んだんだけど、4位にしました。
2008年のPerfume以降アイドルを好きになっている自分は、AKBのことも「やっぱりすごい頑張ってるすごい人達だよ」とは思ってはいたのだけど、この映画を見たらそれが尊敬に変わった。
「スタッフが不甲斐ないだけの人災だ」とか「無理して過酷っぽく撮ってるだけ」って批判もあるかもしれないけど、それでも、この身の回りのことも見えないような目まぐるしさの渦中にいる彼女らの言葉は、ステージでの姿はとても胸を打つ。
皆が語る、西武ドームでの前田敦子の過呼吸からのフライングゲットは無条件で涙が出るし、ラストの出撃シーンみたいに点呼とってステージに出て行く姿からのエンディング曲『ファースト・ラビット』は超カッコよかった。
主にこの映画の評価はライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフルの放課後ポッドキャストの影響も大きいかもしれないのだけど。この映画について語っている様がすごく楽しい。ラジオでも自分達でも。ある意味一番シネマハスラーの影響を受けた映画かも。
第3位『007:スカイフォール』
ダニエル=クレイグのジェームズ=ボンドが超カッコいい。
もともと自分にとっての007って、テレビでやってるのをチラ見する程度のもので、能動的に1作品を丸ごと見たことは無い作品だった。「なんか昔からあるよね」程度の認識。
だけどやたら評判のいい本作なので観てみることに。町山智浩が「本作見る前に見とけ!」と薦めてたらしい『ゴールドフィンガー』と、ダニエルクレイグ慣れするために借りた『カジノロワイヤル』だけ予習してから映画館へ。
そしたら…超楽しかった。こんな007ビギナーの自分にとっても温故知新やシリーズへのリスペクトがはっきり見て取れるくらいだったし、あんな台詞、あんなアイテム、あんな展開やそのときのあの音楽には映画館でガン上がりしてしまった。そして、無性にスーツを着たくなって帰宅(笑)いや、トムフォードのスーツでダニエル=クレイグの肉体だからカッコいいのは百も承知なんだけど。
第2位『おおかみこどもの雨と雪』
超いい映画であると同時に、個人的にとても喰らってしまった。
前にもこの記事で書いたけど、大事な人と一緒にちゃんと自分の生活を構築していく様が、あんなに魅力的に書かれてしまうと、現在の自分を省みて戸惑ってしまうよ…。
日々の暮らしや大切な人との絆などのいわゆる「生活」を脇に置いといて、非日常を作り出す自分のやりたい「企画」にばかり目を向けてしまう、「ハレ」に逃げてしまう節がある自分の価値観を、そのクオリティでもって揺るがされるっていう…。
そして、「親であることの充実感と孤独」っていう、自分が重視していない部分があんなに感動的に描かれるなんて。
さらに言うと、これを冨坂家の家族それぞれが見に行ったタイミングで、自分含め成人した子供達が揃って母親に心配をかける出来事があり、映画内の「子供の自立」であんなに感動したばっかりなのに現実で子供達の不甲斐なさを目撃した母親の心境はいかばかりか…と察して余りある。おかあさんごめんなさい。
まぁ色々と、「痛い痛い」という世間一般と違う目線で評価して忘れがたい映画になりました。
第1位『高地戦』
文句なしに映画館で一番興奮した映画。
演出の味付けが若干濃いめだったり、伏線を回収しすぎて世界が狭く感じたり、出てくる奴等が美男美女すぎ、って気もしなくは無いけど、「…でもそんなの関係ねぇ!」って感じ。だってそれってこの映画をエンターテイメントとして当てるぞ!って気概じゃん。
これまた予習のために南北分断ものの作品を沢山見てから臨んだんだけど、おれやっぱりこのテーマに弱いわ。いや、全然グッと来てる場合じゃない現実の問題なんだけど、物語として破壊力持ちすぎでしょ、この状況。
南北分断サスペンスアクションの名作『JSA』の例に漏れず、やっぱり北朝鮮と韓国が現場の兵士レベルで交流しちゃってたり、友情のようなものが芽生えたりするのに微笑ましく思うんだけど、それだけに終わらない悲劇が待っている。
公開終了したからネタバレしちゃうけど、そんな南北分断ものでありながら「南北ともに現場は停戦を望みつつ渋々やってた戦争」で「ようやく停戦が決まって歓喜した直後」に「でも停戦は12時間後に有効になります、それまで陣取り合戦を続けなさい」と、停戦を知った上でやりたくも無い戦闘(しかも最後の最後だからと一番激しい総力戦)を強いられる前線の悲劇がやばい。
「もう戦わなくってもいいんだよ!バーニィー!」って何度心の中で叫んだことか!面と向かって殺しあってる相手は北朝鮮の兵士であり、韓国の兵士だけど!本当の敵は!「戦争」そのものだよ!と誰もが心の中で叫びながら殺しあう悲劇。これ残酷すぎでしょ。
Twitterでも書いたけど、そういう意味で『0080ポケットの中の戦争』がポケットに収まりきらず高地一杯に充満してる映画。最低の戦場を舞台にした最高の映画。戦争映画とポケ戦とイデオン発動編が好きな人はマスト。
【総評】
今年は こんな感じ で19本を映画館で観た。ウィークエンドシャッフルのシネマハスラーで当たったのばっかり、しかもハスラーに限らず評判を聞いて良さそうなのばっかり行くという安全パイすぎる映画鑑賞体験でした。おかげさまで面白い作品ばっかり観た年だったけど、来年は自分の嗅覚で探り当てたいところですね。